内容説明
緑の蔦に覆われた大学の古い建物、深い霧に包まれる森。東部ヴァーモント州の大学に編入した主人公リチャードは、衒学的なモロー教授のもとで古代ギリシアの世界に耽溺する学生五人と知り合う。そしてある夜、バッコス祭の神秘を再現する熱狂の中で凄惨な事件が起こった。美と恐怖と狂気が彼らを駆り立てる―『罪と罰』を彷彿とさせる傑作長編小説!
著者等紹介
タート,ドナ[タート,ドナ] [Tartt,Donna]
アメリカ・ミシシッピ州グリーンウッド生れの女性作家。1992年、28歳の時に“The Secret History”で彗星のようにデビュー、全米ベストセラーとなった。’14年には“The Goldfinch”(邦題『ゴールドフィンチ』)がピュリッツァー賞小説部門を受賞し、世界的に注目を集めている
吉浦澄子[ヨシウラスミコ]
1947年東京生れ。津田塾大学卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まふ
107
「シークレット・ヒストリー」(原名The Secret History)の改題。ピューリッツァ賞受賞作家の処女作品。カリフォルニアから東部ヴァーモント州の伝統校に編入した語り手のリチャードが古代ギリシャ語の専攻クラスで経験する学園の物語。森の中で起きた不慮の殺人事件を異端児バニーに勘づかれてしまったヘンリー、フランシス、マコーリー双子兄妹の学生4名が口封じのためにバニーを殺す計画を練るが、簡単には計画通りには進まない…。酒ばかり飲んでいる学生たちの浮遊生活が上手く描かれている。下巻へと。G1000。 2025/10/01
キムチ
46
何でも村上氏が解説している・・とかで話題?私は全然関係なくいつもの様に何かの繋がりで読む。が、結構面白く、あっという間に下巻へ。お初の著者・・検索すると1992年執筆するもあっという間に全米のベストセラー・・むべなるかな。といえども寡作らしいのでいよいよそそられる。舞台はアンティークな大学・・かくして教授も骨董的。語り手のリチャードと仲間。の学生5人。のっけから殺人の現場で行きつ戻りつエピソードを挟む。ギリシャ古典を根底に置くせいか知的なやり取りそして高尚な人間関係の機微。次第に病んでいくみんなの神経・・2017/10/17
田中
27
冒頭の「プロローグ」が、結末だった。なぜ、こんなことが起きたのか?さかのぼって、最初からの動きが第一部(上巻)の物語。でも、最後まで読むと、再び冒頭にもどり把握することになった。リチャードの眼前に映ったことを重ねあわせて読むことになるだろう。そうすると彼の疑念や違和感に同じように共鳴するのだ。ギリシャ語クラスメイトとの特異な関係性、そして難解な古代ギリシャ詩編や哲学が背景だ。仲間たちのまともじゃない動向をかいまみると、隠したいものが潜んでいる気配。構成の妙と巧みなストーリーからくる意外性が面白い。2020/11/12
panam1927
26
★★★★☆2017/08/04
わたなべよしお
25
何と言えばよいのだろう。これが第1作であることを考えると、褒めるしかない。ただ、まだ、一語一句、一行一行の密度はさほど高くない。まだ何となく緩い部分がたくさんある。でも、軽々と読者を引っ張っていく。その力は確かなものだ。2017/08/07