新潮文庫
いなごの日/クール・ミリオン―ナサニエル・ウエスト傑作選

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  • サイズ 文庫判/ページ数 519p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784102200766
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

ファシズム時代をグロテスクなブラック・ユーモアで駆け抜けたカルト作家の代表的作品を、柴田元幸が新訳!《村上柴田翻訳堂》絵描きの眼に映った、ハリウッドの夢の影で貧しく生きる人々を描いた「いなごの日」。立身出世を目指す少年の身に起る悲劇の数々を描き、アメリカン・ドリームを徹底して暗転した「クール・ミリオン」。グロテスクなブラック・ユーモアを炸裂させて三〇年代のアメリカを駆け抜けて早世したウエスト、その代表的な長編に短編二篇を加えた永久保存版作品集。《村上柴田翻訳堂》シリーズ。

ナサニエル・ウエスト[ナサニエル ウエスト]

柴田 元幸[シバタ モトユキ]

内容説明

絵描きの眼に映った、ハリウッドの夢の影で貧しく生きる人々を描いた「いなごの日」。立身出世を目指す少年の身に起る悲劇の数々を描き、アメリカン・ドリームを徹底して暗転させた「クール・ミリオン」。グロテスクなブラック・ユーモアを炸裂させ、三〇年代のアメリカを駆け抜けて早世したウエスト、その代表的な長編に短編二編を加えた永久保存版作品集。“村上柴田翻訳堂”シリーズ。

著者等紹介

ウエスト,ナサニエル[ウエスト,ナサニエル] [West,Nathanael]
1903‐1940。アメリカ・ニューヨーク生れ。本名ネイサン・ワインスタイン。タフツ大学やブラウン大学で学んだ後、ヨーロッパに渡り遊学する。1931年、シュルレアリスティックな作風の『バルソー・スネルの夢の生』でデビュー。’75年に映画化された『いなごの日』を遺し、自動車事故で早世した。大戦後アメリカのブラックユーモア文学ブームの際に再評価された

柴田元幸[シバタモトユキ]
1954年、東京生れ。米文学者・東京大学名誉教授。翻訳家。アメリカ文学専攻。『生半可な學者』で講談社エッセイ賞受賞。『アメリカン・ナルシス』でサントリー学芸賞受賞。トマス・ピンチョン著『メイスン&ディクスン』で日本翻訳文化賞受賞。文芸誌「Monkey」の責任編集を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

143
Mr.Beanのような顔が並ぶ表紙…、確かに彼の冗談が続いて何倍にもなると『クールミリオン』や『ペテン師』の世界。【クール】とはご冗談を。ダマされ続ける滑稽さ。少しは賢くおなりなさい。騙す者もあまり得しておらず、痛み損。『イナゴの日』愚かな男に、搾取しているようで大切な物を吸い取られる女。西に死にに来る者達。ゆっくりと、堕落して、崩れる。過ごしやすい気候に、隣にある華やかさに流されていく先のあはれ。なのに、その中に入って体感したくなる誘惑がある。最後の短編のラスト数行は、作者の全ての要約か。運のなさよ…。2017/08/16

まふ

108
「いなごの日」のみ読む。作者は米国ユダヤ系の作家。物語の舞台はハリウッド。主人公トッドは映画会社の美術部員、フェイは女優を目指す。フェイの父ハリーその他のクセのある連中がそれぞれ成功を夢見て様々な方向にうごめく。だが、舞台がハリウッドだからなのか、それぞれの人物に「実在感」が乏しく(うわすべり?)誰もがフワフワな毎日を過ごしているようであり、従って作品自体にも今一つの重みを感じさせない気がした。G553/1000。2024/07/04

藤月はな(灯れ松明の火)

80
岩波文庫の『孤独な娘』を読んで以来、気にかかっていたナサニエル・ウエストの作品が柴田元幸氏の手による新訳として復刻。ありがとう、村上柴田翻訳堂!どうしても出エジプト記での神によって不信に陥ったラムセス二世に襲いかかる厄災を連想してしまった『いなごの日』。読んでみたら、煌びやかで憧れのハリウッドの虚飾とそこで憧れと夢を捨てきれずに食い潰されて喘ぐ人々が綿々と描かれていました。一歩、間違えればエルロイ風に陰鬱で毒々しくなる所を茶目っ気たっぷりに闊達に描いているのでちょっと、笑える不思議。しかし、ラストに慄然。2017/05/30

nobi

75
表題作はけばけばしい素材とボロ切れから作ったコラージュを見るような印象。このちぐはぐ感。浮かれているか落ち込んでいる。“らしく見えるもの”に覆われている。時に挟まる妙に精緻な描写と思うとハリウッドの大掛かりな撮影用セットとか様式混在するコテージの内外装だったり。「クールミリオン」は大時代的な劇画のようなタッチ。いつかは、って期待感は次第に…。気づけば副題通りなのだった。徹底して反ヨーロッパを追求している?有名人を見ようと集まった数千人の暴徒と化す群衆の中で漸く生を実感する。アメリカの悲哀の一面を見る思い。2017/05/20

NAO

63
ハリウッドに来たからと言って誰もが有名になれるわけではない。それでもハリウッドを目指さずにいられないのは、そこでならアメリカンドリームがかなえられるからだ。そんなハリウッドの日の当たらないところで鬱々と暮らす人々をずっと描き続けたあと、最後の数ページで何ということのないいたずらからあっという間に大暴動となるさまを描く、この飛躍。今この作品が改めて新訳として出たのは、時代的な背景もやっぱりあるんじゃないかと思う。旧訳よりかなり読み易くなっていた。【ガーディアン必読書】 2017/05/06

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