内容説明
警官の魔手を逃れた生存者たちは、荒れ果てた映画館で息をひそめていた。作家マリンヴィルは、一行を導く少年の持つ神がかりの能力に気づき、この一件に人知を超えた力が及んでいることを知る。さらに、多くの鉱夫を生き埋めにした落盤事故が過去に起きたことが判明。警官を狂気に追い込んだのは、犠牲者の怨念なのか?かくして、殺戮を繰り返す悪の正体が、ついに明かされる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
goro@80.7
53
寂れた炭鉱町で掘り起こされた邪悪なるものとの闘い。何度も神は残酷と出てくるけどまさしく理不尽で何で私が!と思う場面は現実でも出てくる事をキングはこれでもかと畳みかけてくる。倒れてゆくものたちへの悲しみのなかでも生き残る闘いは続くのだ。やはりここはジョニーに肩入れしてしまう。最後がねカッコいいわ。「レギュレイターズ」も読まねばなるまいのう。2023/09/27
志田健治
22
大大大満足です。初期のキングに戻った!というサプライズと感動がこの本には詰まっていました。デヴィッド少年と大人たちの位置付けなんかは『呪われた町』を彷彿とさせましたし、戦うべき相手は『It』とのつながりを連想してしまいます。特に僕は神の解釈が好きです。神に翻弄され、理不尽に打ちのめされる人たちをジョニー・マリンヴィルの最後の言葉が救うような気がします。それに対するデヴィッドの答えも素晴らしい。うん、いろいろ暴力とお下劣とおぞましい世界で責め立てられましたが、テーマはとても美しいものでした。ドラマ版も期待!2016/10/11
言言
13
あまりにも多くの人が死にすぎて何がハッピーエンドか分からないけど、きっとこれが一番の解決法だったんだろうなぁ。そうだろ、ディビッド?そうだろ、マリンヴェル(はぁ…)なんだか1ヶ月使って上質で素晴らしい映画を一本見た感じです。それにしてもキングはすごい。凄すぎる2016/11/29
richiy
13
キングの作品は後味が悪くないので安心して読めます。もっとも、劇中は恐ろしいことこの上ないのですが。とくに「デスペレーション」は想像したくない場面の多いこと(笑)。それでもデヴィッドとマリンヴィルのやり取りには目頭が熱くなってしまった。本書とリンクしているバックマン名義で書かれた「レギュレイターズ」も読んでみたくなりました。2015/06/21
Satoshi
11
前半は不条理な暴力と監禁をする狂気の警官とそれに操られた野生動物や虫に対する少年デイビッドを中心とした一味のサバイバルを描いていて、ハラハラさせられる。理不尽な暴力描写は流石。後半は警官を操っている悪との戦いがメインとなる。神と悪魔の戦いを残酷に描写したかったのだろうが、キリスト教に疎い我々にとっては少しついていけないところもある。普通に少年対悪という構図のほうが分かりやすかった。ただ、アル中の作家の自爆行為などは胸を熱くさせられる。姉妹作のレギュレイターズも読もう。2016/09/01