内容説明
行方不明だった少年の事故死体が、森の奥にあるとの情報を掴んだ4人の少年たちは、「死体探し」の旅に出た。その苦難と恐怖に満ちた2日間を通して、誰もが経験する少年期の特異な友情、それへの訣別の姿を感動的に描く表題作は、成人して作家になった仲間の一人が書くという形をとった著者の半自伝的な作品である。他に、英国の奇譚クラブの雰囲気をよく写した1編を収録。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
271
春と夏、秋と冬。それぞれ2つの季節に分冊された2冊の中編集はそれぞれの物語が陰と陽と対を成す。中間期は優しさの訪れであるならば極端に暑さ寒さに振り切れる季節は人を狂わす怖さを持つ。それがキングの心象風景なのだろうか。各編に共通するのは全てが昔語り、つまり回想で成り立っていることだ。キングは本書で斯くも自由奔放に物語を羽ばたかせた。春夏秋冬、キングの歳時記とも呼べる本書は『ゴールデンボーイ』と併せてかけがえない作品となった。永遠のベストの1冊をこの歳になって見つけられたキングとの出逢いを素直に寿ぎたい。2018/03/29
ALATA
163
線路を歩き続け、列車に追いかけられ、「死体探し」の旅に出る。誰も忘れることのない12歳の秋、9月の二日間。こういうことはフラッシュバックのように思い出すことがある。ささいな出来事が、時間を経るうちに大きく変容していくものだ。バーン、クリス、テディ、ゴーディの恐怖と苦悩から絡み合う特異な友情が切ない★4※「おれたちはやったよな?」「その価値はあった、だろ?」暗い川面から抜け出そうとする少年たちが愛おしい。いい読み物でした。2024/05/06
あきぽん
154
名作映画の原作。この作品は、夏の終わりのむせかえるような濃厚さと、胸を締め付けられるような寂寥感に満ちていて、読後ずっしりと残ります。子供時代が終わるころはこんな気配がしていたのだ…。2019/08/18
のっち♬
148
表題作はジュブナイル的な甘酸っぱさや爽快感とは無縁の話。一夏のイベントが運命の分岐点になる残酷な成長の痛みがノスタルジックな感興を呼び起こす。『奇譚クラブ』はゴシック風味で背景も戯れ心満載。双方に二都物語ネタを使うディケンズ愛。酔狂な筋を精一杯の背伸びや気遣いで膨らませる描写、パイ食い大会や機関車呼吸といったナンセンスジョークなど、本編・作中作に若々しい反骨や諧謔が犇めいている。著者はホラーの外側で言葉と愛の溝にフォーカスすることで語るべきこと、語らざるべきことに向き合い、語り手としての在り方を再考した。2023/01/01
zero1
143
映画があまりにも有名な、キングの自伝的作品。何度でも読みたくなる。どれだけの読者が自分の少年時代とクロスしたことか。 テディ、ゴーディ、クリス、バーン。4人の少年たちが、死体を捜しに行く。ゴーディは事故死した兄の代わりに自分がいなくなればよかったとトラウマになっていた。 俗に言う「カインコンプレックス」なのだが、少年にこれは辛い。どうしても頭の中にベン・E・キングの主題歌が流れる。映画でクリスを演じていたリバー・フェニックスが若くして亡くなったのは残念としか言いようがない。2018/10/25
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