内容説明
アメリカン・ドリームをまさに体現し、億万長者と映画スターが集う社交界の主人公となったチャップリンは、『キッド』『街の灯』など名作を次々と世に送り出していく。私生活では、二度の離婚、奔放な女性関係を体験するが、対独参戦を促す演説が曲解され、戦後、「赤狩り」の嵐の中、アメリカを追われる。スイスに移住した75歳の著者が自ら人生のありのままを振り返った世界的ベストセラー。
著者等紹介
チャップリン,チャールズ[チャップリン,チャールズ] [Chaplin,Charles]
1889‐1977。ロンドン生れ。両親とも芸人。母の代役として5歳で初舞台。ヴォードヴィルのカーノー一座と共に渡米。1913年キーストン喜劇映画会社に入り、浮浪者スタイルや、笑いと涙、風刺と哀愁に満ちた作品で卓越した評価を受ける。’52年赤狩りで米国を追われ晩年はスイスに居住。’75年3月には英国王室から大英帝国勲章第二位(ナイト・コマンダー)を授与される
中里京子[ナカザトキョウコ]
1955年生れ。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kochi
16
いよいよ本格的に主演・監督として映画を量産し始め、有名スター仲間と独自の配給会社を設立し、著名人などとの付き合いも広がり、公私共に充実した時を過ごすチャプリンだが、『独裁者』の公開あたり、また第二次大戦、冷戦という歴史の流れの中、政治関係から不穏な空気に包まれる… 下巻は著名人との交友録みたいになりながらも、文化人、政治家、貴族/王族、科学者など登場する多彩な人物達に目を見張る。来日時に5.15事件に巻き込まれそうだったとか、驚くエピソードも豊富。いつか見ようと録画した彼の映画を見る時間を作らなくては!2023/03/25
ブラックジャケット
13
チャップリンがアメリカに渡ってからの華やかな生活が活写される。チャップリンの記憶力は驚異的。縁を求めてくるのは映画人ばかりではなく、各界の著名人となる。H・G・ウェルズや亡命して来たアインシュタインなど、さらにはガンジーやチャーチルなどの現代史の巨星。そんな中で「キッド」「街の灯」とチャップリンらしい泣きと笑いの傑作を撮る。しかし時代はナチス勃興、「モダンタイムス」などの現代産業批判は、彼を共産主義者としてレッテルが貼られるようにもなる。大戦勃発「独裁者」という傑作でヒトラーと直接対決。喜劇王の大勝負。 2022/01/07
真琴
7
下巻では、アメリカでの成功により富と名声を得て世界的に名をはすが、赤狩りの波にのまれ事実上アメリカを追放されスイスに渡るまでが描かれる。偉大で魅力的で愛情深く誠実な方というのは言うまでもないですね 。「そして、完璧な愛とは、あらゆるフラストレーションのなかで、もっとも美しいものだ。なぜなら、それを表現するのは不可能だから」(P678)最終ページのこの言葉からも愛情深さと誠実さを感じた。2024/08/18
御餅田 もちこ
4
「『ライムライト』を観たわたしたちは、笑いーーときには爆笑しーーそして、本物の涙を浮かべて泣きました。それはあなたの涙でした。なぜなら、涙という貴重な贈り物をくださったのはあなただからです。」下は彼の人生に影響を与えた人々との交遊録が大半を占める。批評家からの評判が芳しくなかったそうだが、私は上下ともに好きだ。特に恋人に内緒でヨットを買ってあげるシーンが好き。走って飛び出てっちゃうほど驚く恋人が可愛い笑 映画が観たくなる。映写機から飛び出したような人生を送った監督は、どんな映画を作ったんだろう。2022/02/14
saladin
4
本書はアメリカで大成功を収めた後、実質的に赤狩りで国を追われ、スイスに移住するまでを描いている。『~若き日々』に比べ、多くの頁が著名人たちとの交流話に費やされ、言わば自慢。チャップリン自身がそれらの人々よりも著名でなければ鼻持ちならないところだが、嬉々としてそれを書くところがらしいのだろう。さて赤狩りの描写自体は控えめ。もちろん苦々しくは思っていたろうが、どちらかというと諦念の印象を受ける。あるいは、解説にあるように、チャップリンの口癖でもあった”人は優しいもの”という信念がそうさせたのかもしれない。2020/08/11
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