出版社内容情報
頽廃の美と反逆の情熱を謳って、象徴派詩人のバイブルとなったこの詩集は、息づまるばかりに妖しい美の人工楽園を展開している。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
119
ボードレールの唯一の純粋詩集。永らく書棚に眠っていたがようやくその気になって通読した。訳者が堀口大學なので格調が高い。だが、西洋詩で最も重要な要素である「韻」が訳文には見つからない。当然である。しかし、これは西洋詩と日本語訳との根本的な問題である。実際の堀口訳には五七調、七五調もいくつかあり、かなりリズミックに読めるが、やはり異なる。結局日本語訳の西洋詩は「リズム」を捨てて「意味」を味わうしかない、つまり「原詩とは別の物」を読むという心構えで読むしかない、ということである。⇒2024/09/09
nakanaka
71
ん-、私には難しかったようです。そもそも詩を理解する頭が無いようで。分かるような分からないようなといった読書がずっと続きました。もっと宗教の知識があれば違ったのかもしれません。2022/10/26
ホッパー
53
難解だ、退廃的な言葉達に圧倒された。果たして読んだと言えるのだろうか。雰囲気に身を浸したというレベルでしかいない気がする。また改めて再読したい。多数ある過激な詩の数々の中に、突然猫に対する賛美の詩が出てくる。猫をこうも詩的な表現で愛でることができるのかと、不思議な感動があった。2020/01/25
なつ
43
再読。「悪の華」という題名からしてまさにデカダンスの風格が。西洋の近代詩に多大な影響を与えたボードレールによる唯一の詩集。文体は暗澹ながら退廃的、耽美。難解だけれど呑まれて、その世界に浸れるのです。不穏さや性的なものが美醜の両方を持っているところに言葉のきらめきと残酷さが感じられました。2023/12/09
傘緑
42
澁澤家の飼兎ウチャは本をしがむのが好きで、特にお気に入りがボードレールだったという。龍子夫人は、「お前もボードレールか」と目を細めながらウチャを撫で回す、そんな一人と一匹のボードレリアンの姿を伝えている。「汝の頭、なよやかなる背すじかけ、わが指のしずしずと撫でさするまに…」 ②二人の女学生が悪の快楽に目覚め、残酷な悪戯に耽る、映画『小さな悪の華』。前半は非の打ち所の無い傑作、後半は手の打ち所の無い駄作(私見)。最後に二人は『悪の華』の一節を朗唱する、「地獄も天国もかまわずに未知の底から新しさ探し出そう!」2016/12/22