内容説明
誰もが人工臓器を求め、ローンの支払いが滞れば強制的に回収されてしまう近未来。かつては腕利きの取り立て屋だった“おれ”も、今や追われる身となり、廃墟となったホテルに潜伏している。古びたタイプライターで来し方を綴る毎日。だがある日、その愛機に一枚のメモが―「うるさい」。予期せぬ伴侶と“おれ”の運命とは?究極の格差社会を舞台に展開する、血と涙に彩られた追跡劇。
著者等紹介
ガルシア,エリック[ガルシア,エリック][Garcia,Eric]
1973年、フロリダ州マイアミ生れ。’99年のデビュー作『さらば、愛しき鉤爪』が世界的注目を浴びる。2002年発表の『マッチスティック・メン』はリドリー・スコット監督/ニコラス・ケイジ主演で映画化。南カリフォルニア在住
土屋晃[ツチヤアキラ]
1959年東京生れ。慶應義塾大学文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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青葉麒麟
13
映画視聴済み。映画とは内容がかなり違います。主人公の過去と現在が上手い具合に交差していて読み易かった。しかし人工臓器に取って変わる日もそんなに遠くないような気がします。ちょっと恐ろしい。2017/10/30
すけきよ
4
てっきり、エミリオ・エステベスが宇宙人の死体を運ぶ話かと思った(笑)不死のテクノロジーがありながら、命がローンよりも安いというブラックジョークにまみれたディストピア。当たり前の仕事として内臓を抉り出す彼のみならず、それが常態として受け入れられている世界構造がグロテスク。ハードボイルドタッチだから一人称なんだろうけど、タイプライターで打っているという設定が、「うるさい」のメモ以外に生きてないのが残念。そこにも仕掛けが欲しかったかなぁ。2009/10/06
co_taro
3
奇天烈アイデアの近未来SFサスペンス。ローン滞納者をメスで切り裂き高額臓器を抜き取る現物取立て屋バイオ・レポマンが生業だったアフリカ戦役帰りの主人公、かつて所属したレポメンのユニオンから逆に取立てで追われる身。取り立てエリートの転落と反転、笑えて、スかしてて、それでいて切ない人生のバラード。過去の3つの転機の手記仕立て、ちょこっとラブコメありいでローン地獄の風刺も効いてるストーリー。 2009/12/03
Hiroshi Takeshita
3
古本屋で一山いくら。これはめっけもんだった。ハインラインとディック風。似てるというのはかわいそうだ。彼らの跡には何物も残らない。因みに、ハインラインは下品な時のハインライン。『なにを言われているのかわからなかったので、おれはうなずいた。』この一文で読む価値あり。2016/04/22
rokai
3
期待が大きかっただけに 最後はなーんだっていう落ちだった。 もっとハードボイルドな作品に仕上げた方が面白かったかも。 独特の世界観や設定がいいだけに惜しいなぁ。2010/10/28