出版社内容情報
この国家は連続殺人の存在を認めない。ゆえに犯人は自由に殺しつづける――。リドリー・スコット監督で映画化!
★『このミステリーがすごい2009』(宝島社)海外編の第一位!
内容説明
スターリン体制下のソ連。国家保安省の敏腕捜査官レオ・デミドフは、あるスパイ容疑者の拘束に成功する。だが、この機に乗じた狡猾な副官の計略にはまり、妻ともども片田舎の民警へと追放される。そこで発見された惨殺体の状況は、かつて彼が事故と遺族を説得した少年の遺体に酷似していた…。ソ連に実在した大量殺人犯に着想を得て、世界を震撼させた超新星の鮮烈なデビュー作。
著者等紹介
スミス,トム・ロブ[スミス,トムロブ][Smith,Tom Rob]
1979年、ロンドン生れ。英国人の父とスウェーデン人の母を持つ。2001年、ケンブリッジ大学英文学科を首席で卒業。在学当時から映画・TVドラマの脚本を手がける。処女小説『チャイルド44』は刊行1年前から世界的注目を浴びたのち、’08年度CWA賞最優秀スパイ・冒険・スリラー賞を受賞
田口俊樹[タグチトシキ]
1950年、奈良市生れ。早稲田大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
550
          
            スターリン時代の旧ソ連社会を描く、著者の輝かしいデビュー作。'08年度CWA賞(最優秀スパイ・冒険・スリラー賞)受賞作。どこまでが事実で、どこからが著者の想像力を交えたフィクションであるのかがわからないくらいの迫真力。おそらくは、ほとんどが事実からなる事柄をフィクションとして再構成したものかと思われる。主人公はMGB(KGBの前身)の捜査官。国家という権力装置が持つ暴力(それは物理的にもだが、より精神的なダメージとして)を、これでもかと読者に突き付けてくる。凄まじいばかりの「負」の圧力である。2021/05/18
          
        遥かなる想い
366
          
            2008年このミス海外部門第一位の上巻。  スターリン独裁下のソ連で  起きた子供の惨殺死体。  物語全体を覆う閉塞感が  不気味。冷戦の時代、国家の  ために友人を売り、妻を売り、  スパイ狩りに  ちまなこになる時代背景が  奇妙な緊張感を物語に  与えている。スパイという疑惑だけで、  無実の人間が大量に処刑された時代…  上巻はレオとライーサが謀により  追放される様と、不気味な惨殺事件が  平行して進む。  社会主義の狂気が怖い。2014/01/18
          
        よむヨム@book
181
          
            ★★★☆☆ 星3つ   前半は、旧ソ連や主人公レオの状況を説明する話になっている。   作者が史実を調べて、この本を書いているなら、   1933年の旧ソ連のウクライナの村は、悲惨というしかない食料不足だったのには驚く。   犬は勿論、猫、鼠まで喰らいつくしている。   また、1953年のスターリン体制化の国家保安省に目を付けられると命の保証がないという社会体制にも驚かされる。   個人より国家が優先される社会は怖いと思った。   本当に、おそロシア。2022/04/04
          
        紅はこべ
177
          
            ソ連への絶対的忠誠を抱き、自らの正義を信じてきた国家保安省捜査官のレオの価値観が次第に崩れて来る様がリアルだ。レオはもし西側に生まれていたら、ごく普通に民主主義を信奉していたろう。国家や司法機関が過ちを認めないのって、現在の日本も似たようなものだ。2015/02/07
          
        みんと
128
          
            ロシアという国の重圧感と猟奇的な殺人。 ストーリー展開もテンポが良く、あっという間に引き込まれる。 海外物は訳が気になってストーリーに入り込めないことが多いのだが訳者さんが上手なので違和感を感じることもなかった。 捜査官レオの苦難の中での活躍が期待大。 下巻を早く読みたくてワクワクする。2015/09/29
          
        

              
              
              
              

