内容説明
マンハッタンで堅実な投資顧問会社を経営するファーは麻薬密売で逮補された息子の将来と引換えにFBIとの取引を受け入れた。カリブのカイマン島にファーは工作員数名と傍受装置を完備した投資顧問会社を作り、おとり捜査が開始された。巨額の資金洗浄を持ちかけてきたのはコロンピアのコカイン・ブローカーとニューヨーク・マフィアだった。一味は罠にはまったかに見えたのだが。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
69
さすが一流ジャーナリスト出身の作者だけあってダミーの投資会社設立による麻薬カルテルの資金洗浄の実体を掴んで検挙する方法での一斉検挙を目論むFBI捜査官と、図らずもFBIの思惑で架空の投資会社の代表取締役を担うことになったウォール街随一の投資家ウォルター・ファーを主人公に物語が進む。本書は85年の作品だが今なお麻薬カルテルの際限ない戦いの物語は紡がれており、それらの読後感は皆同じような虚無感を抱かせる。それは麻薬社会アメリカの深い病巣とも関係しているのだろう。麻薬を巡る現実は今も昔もどうやら変わっていない。2016/08/29
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