内容説明
どこから見ても風采の上らない英国情報部のチャーリー・マフィンは、KGBヨーロッパ・スパイ網の責任者ベレンコフを逮捕したこともある腕ききだが、部長が交替してからは冴えない立場に追いやられている。折しも、ベレンコフの親友カレーニン将軍が西側に亡命を望んでいるとの情報が入った。チャーリーはどこか臭いところがあると警告したのだが…。ニュータイプのエスピオナージュ。
著者等紹介
フリーマントル,ブライアン[フリーマントル,ブライアン][Freemantle,Brian]
1936年サウサンプトン生れ。17歳でロンドンの新聞界に入り、国際関係の記事を専門とするジャーナリストとして活躍。『デイリー・メイル』紙の外報部長を務めた後、小説家デビュー
稲葉明雄[イナバアキオ]
1934‐1999。大阪生れ。早稲田大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
195
凄い話だ。absintheは個人的にこのどんでん返しやオチは好きではない、というかむしろ嫌い。特に主人公が読者に嘘をつく作品。だが本作が風格ある名作であることは間違いなく、そこは認めなければならない。当時のソ連とアメリカの対立のほか、イギリスとアメリカも一枚岩ではない、それどころか虚実とりまぜた駆け引きがある。とにかくスパイが敵どころか味方にも心を許せない非常な世界であることをよく表現した重要な作品だと思う。2021/05/04
NAO
88
【月イチテーマ 男祭】英国情報員チャーリーは、マフィンという姓のイメージそのままのぱっとしない中年男。この作品には、チャーリー以外にも英国情報員が二人、CIA職員が二人登場するが、四人とも自己主張が強く自信家で、チャーリーとは正反対の描かれ方をしている。だが、極秘裏に行動するなら、目立ってはいけないはず。知識と情報さえあれば充分だと考え、そんなこともわからないほど自分に自惚れた情報員の姿は、現代のエリート上層部の人間の典型なのかもしれない。同僚たちが次々と失敗し脱落していったあとの大どんでん返し。⇒2021/05/31
藤月はな(灯れ松明の火)
57
KGB幹部の親友が亡命を英国諜報部へ希望してきた。これには裏があるとKGB幹部を捕まえたチャーリーは警告するが・・・。ぼんくらで能無し、役立たず、更には読みが浅すぎる上司とCIA長官を何とか説得しようとして匙を投げるチャーリー。「いや、ちょっと嫌味だが仕事は確実にできる、この男はここで終わる筈がない」と思っていたらまさかの展開。まあ、部下のことも事情を考えればそう、考えても仕方ないかもね・・・・。2014/09/01
megumiahuru
40
エスピオナージュという、あまり登ったことのない山に登ることを決め、さあ、どの山からと思い手に取った一冊。名作の噂に違わぬ面白さでした! チャーリー・マフィンがとにかく渋い!消されそうになっても、なおしぶとく食い下がっていくプロとしてのしたたかさ。それでいて、母性本能をくすぐる弱さもあり、魅力的です。 ハイテク機器やアクションで事件を解決する「XX7」や「○ーサン・○ント」などと違って、こちらはちょっとした会話を読みあう頭脳&神経戦。ウイスキーを傾けつつチェス盤を覗き込むような、哀愁漂う大人の一冊です。2014/02/15
再び読書
39
もう少しどんでん返しを期待していたので、肩透かしをくらった感じです。どうしてもイアン・フレミングのジェームズ・ボンドのイメージが刷り込まれているので、本来のスパイなのだか、違う感じしてしょうがない。また、ハッシュパピーの靴と言うのも、少しボンドのブランド好みと違い、この点は面白い。最後はクラレット(ボルドーの赤イン)で締めくくられるのが、ご愛嬌でしょうか?ただ単にカスバートスンをへこませただけで、このために裏切り者になる気持ちが理解出来ない。次に進もうか?迷います。2015/01/26