内容説明
社長となった盟友サムをはじめ、シーリアの確かな判断力に信頼を寄せる者の数も社内に増えてきた。社は、画期的なつわり防止薬モンテインに社運を賭けていた。処方薬販売部長としてその販売作戦の指揮をとることになったシーリアに、医師の夫は、妊婦への投薬に対する疑念を表わした。―企業における利潤追求と社会的使命の調和という、永遠のテーマを追求する、著者の会心作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
25
発売当時長い間ベストセラーになったという読み応えのある作品。また女性の社会での活躍が目覚ましくなっていく頃の様子、製薬会社の利益追求と副作用の問題、多額な研究開発費と官僚との確執など詳細な描写はうならせる。経営者のタフさはもちろんだが、下巻ではシーリアの家庭を顧みず働く姿が印象に残った。2016/06/15
bluemint
12
読む手が止まらず面白かった。物語の面白さと業界の事情の両方が楽しめた。40年以上も経っているのに現代と変わっていないことが多く驚いた。「単に不快なだけの症状、限定された経過を辿る症状には薬を使うべきでない」という指摘は今こそ考えるべきだし、薬に有害な副作用が表面化すれば、テレビの担当者は徹底的に非難するくせに、建設的なことは無視する。テレビは強烈で手っ取り早いインパクトを追及するから頭を使う知的なテーマを敬遠する、ということは最近読んだファクトフルネスにも大きく扱われていた。今の目で見ても得るものが多い。2020/03/10
mawaji
9
アルツハイマー病やEDの治療薬の出現を予言するようなストーリー展開でほぼ一気読み。「医者は薬に関するさまざまなあやまちを犯している。そのひとつは薬を処方しすぎること」「多くの医者は薬のことをよく知らない」などなかなか手厳しいですが、30年前からあまり変わっていないということでしょうか。「患者の前で参考書を拡げることを恐れない医者は安心してかかれる良心的な医者」というシーリアのひと言を読んで、学生時代ポリクリで外来患者さんの前で赤くて分厚い日本薬局方をぺらぺら捲り始めた神経内科助教授の先生を思い出しました。2017/09/19
東森久利斗
4
「過失は知識の欠如ではなく、判断の誤りである…」英国の哲学者ジョン・ロックの「人間悟性論」が引用された一行に本書のエッセンスが凝縮。政治と医療、ドラッグ・ラグ/ロス、安全とリスク、製薬会社における利潤追求と社会的使命との調和、個人の欲望と倫理とのバランス、企業における女性の進出、今も変わらぬ永遠のテーマ。重厚な内容を、魅力的なキャラクター、軽快なテンポ、スリリングな展開で読ませるストーリーテリングの妙。女性管理職比率、日本は11.1%で96位、残念。2024/09/27
ハレ
4
製薬会社組織の仕組みや苦労などが分かりそれなりに面白かったが、登場人物が皆美しく、賢く、物分かりのいい人達ばかりで、いささかげんなり、、、
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