感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Y2K☮
41
「スウェーデンの城」という戯曲の続編。デカダン小説と著者の言い訳染みた独白が交互に来るスタイル。真っ先に太宰治「道化の華」を連想。でも独白の混濁した内容はむしろ「二十世紀旗手」に近い。無一文でパリに来て裕福な年上の愛人を捕まえる兄セバスチャン、新進スターのブリュノを友人から奪ってしまう妹エレオノール。近親相姦の匂いを纏うアラフォーのジゴロ&ジゴレット。ただ彼らの魅力が文面からはあまり伝わらない。今作の肝はやはり独白パートのサガン哲学。どんな天才にも書けない時はある。その苦悩さえも作品の糧に昇華できる凄み。2016/04/11
新田新一
34
小説とサガンの独白が綯交ぜられた作品です。小説の部分では、ハンサムでお金持ちの女性に取り入って生きているセバスチャンと、本好きで気まぐれに男性に恋するレオノールの兄妹の自堕落な生活が描かれています。この部分は典型的なサガンの作品と言えるのですが、独白の部分ではサガンの心情が率直に述べられていて興味深く感じました。作家の孤独とか小説が書けない苦しさなどが書かれていて、天才と思っていたこの作家の意外な内面を理解。水と油のような小説と独白が結末近くになると、不思議とつながってくることに凄みを感じました。2025/03/05
泉を乱す
8
アニーエルノーはサガンをどう読んでたのだろう2025/03/03
yokocoⅡ
6
面白い。魅惑的なスウェーデン人ヴァン・ミレン兄妹の周りで起こるドラマとサガンの個人的な独白のようなものが交互に語られるのだが、徐々にこのふたつが交錯してゆく。どこまでがフィクションでという境目が曖昧になる。もしかしてサガンの独白の体をとりながら全てがフィクションなのだろうか。朝吹女史のあとがきはこのサガン的文章を非常にわかりやすく解説してくれる。2014/01/07
りっとう ゆき
5
親密な兄妹と、彼らを取り巻く熟女や美男子らとのゆるく甘く気だるい日々。その合間合間にサガンがメタ的に出てきて、エッセイのようにとりとめのない独り言、しかし時にきっぱりとした主張をしたりする。ストーリーの渇いた世界のほうがサガンらしく思われるのだけど、独白がある意味それを裏切ってて意外性がある。全体としてはまとまりはないしどこまでもざわざわと波打ってる感じなのに不思議と好きだと思える読後感。しかし。あとがきを読んで、「スウェーデンの城」の続編だときづく。なるほど。そっちも読まねば。2023/03/12
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