出版社内容情報
ユゴー[ユコオ]
著・文・その他
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
407
第3巻ではその通俗性に疑問も持ったのだが、この巻に来てそれが払拭はされないまでも、物語の持つ圧倒的なまでの力の前に影をひそめることになる。巻の前半はマリユスとコゼットの恋の物語として穏やかに進行するが、後半からは1832年6月のパリ蜂起が登場人物たちのすべてを飲み込んでゆく。この場面の迫力はユゴーの体験的な回想でもあるのだろうし、それに加えてロマン主義文学たる情念の筆致がこれを描き出してゆく。マリユスは図らずもその渦中にありながらも、観察者としての位置にあるのだが、それはまさにユゴーの姿に他ならなかった。2022/05/19
ケイ
146
1830年の7月革命から1832年の6月暴動まで。ナポレオンから民衆が取り上げてブルボン家に与えた力に胡座をかいたため、王政に対する新たな革命が起きブルジョワの代表ともされるオルレアン公ルイ・フィリップによる立憲君主制が始まる。それも反発を引き起こし二年後の暴動につながった。ユゴーが前巻で書いた浮浪児は、悪党テナルディエが捨てた娘エポニーヌと息子カブローシュらだろう、マリユスもコゼットも悪人ではないが無償の助けができるのは捨て子二人だ。そしてお金の助けを借りるバルジャンと違う清貧のマブーフ老人との差異よ!2017/10/08
ヴェルナーの日記
121
本巻の物語として見どころは、その後のテナルディエ一家のありさまを描いている箇所であろう、なかでもエポニーヌが、本人さえも知らずにマリユスとコゼットとの愛を取り持つキューピット役を演じているのは運命の機微を感じさせる。さらにフランス7月革命後のルイ・フィリップ王の七月王政時代の最中の1833年までの18年間という時代にあって、とくに六月暴動(1832年6月に発生した、パリ市民による王政打倒の暴動)を通し、混乱を極めた社会情勢や苦悩に喘ぐ民衆の生活を登場人物の視点を通して著者は描きたかったのではないだろうか。2016/04/05
扉のこちら側
93
初読。2015年1115冊め。【68-4/G1000】ジャン・ヴァルジャン→コゼット→マリユスときて、まさにLes Misérables(哀れな人びと)の物語へ。貧困により不幸に陥っている人々に焦点を当てた物語であるが、最愛の孫と心を通わすことができない裕福な老人もいる。そして六月暴動へ。みすぼらしい恰好をしていてもなんだか美しく見えるようになったエポニーヌが、せめて同じ場所で死にたいとマリユスを暴動へ誘うのが哀しい。【第6回G1000チャレンジ】【新潮文庫の100冊1996】2015/11/06
Willie the Wildcat
67
愛情の葛藤。人のみならず、社会・国家への愛情の苦悩。苦悩を埋める行動にも正義。行動の真意が、必ずしも他者に伝わらないもどかしさ。エポニーヌの歯がゆさと最期まで貫く姿勢が印象的。本著のサブタイトルのみ人名でないが、「エポニーヌ」が相応しい気がする。一方、ジャンの苦悩の矛盾。愛憎、憧れ・妬み、善悪。反乱と暴動の件は、そんなジャンの心の葛藤の暗喩ではなかろうか。そのジャンに引っ越しを促すメモ・・・って、これジャヴェールじゃないかなぁ。人間模様のアヤも意味深。拿捕されたジャヴェールの今後が気になるところ。2015/12/26
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