出版社内容情報
人種偏見に異様な情熱をもやす米国南部社会に対して反逆し、殺人と凌辱の果てに逮捕され、惨殺された黒人混血児クリスマスの悲劇。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ペグ
103
四回目読了です。一回目はあまり理解出来ず二回目は少し。三度目は黒原訳で随分はっきりしてきて、今回は、クリスマス(マイケル・ファスベンダー)ハイタワー(ウィリアム・ハート)など映像化して読むことが出来た。重くて、決して楽しい読書ではないけれど、人間の闇を描いた傑作に惹きつけられています。2020/06/23
ケイ
95
長かった。南部で、黒人の血が混じっているかもしれないという事は、そこまで呪われたことなのだろうか。物語の主要人物が、数十ページ毎に、その人物から数珠つなぎのように代わっていく。その人物達の行動の説明があとからなされるのが独特だが読みにくいわけではない。それぞれに特徴があり、物語において各々の役割を担っているが、主要なキャラクターであるクリスマスがどうしてあのような人物になったのかが私にはわかりずらかった。またリーナの頑固さや厚顔さの根拠もわからず、その厚かましさに、喉が詰まったような感じになる。2014/10/05
のっち♬
88
子の父親を追う身重のリーナを主軸に、黒人の血を引くクリスマス、町と隔絶された元牧師ハイタワーの話を交錯させる。それぞれ孤独を抱えた登場人物らの繋がりを追いつつ、過去のエピソードも綿密に語られる。中でもクリスマス編はかなりの迫力で、彼らに行動を起こさせる背景も強烈。地の文に挿入される内的独白も効果的に緊張感を高めている。天真爛漫で逞しいリーナの存在感も引き立っており、最後まで力強い生命力を感じさせる。他にも対比表現は多岐に渡り、信仰や人種差別が生み出す暴力的な呪縛に対しても思索と意匠が深い。重厚緻密な傑作。2017/05/31
ペグ
73
(納屋が燃える〜短編〜)以来長編では初めてのフォークナー作品。登場人物のリーナの明、クリスマスの暗を軸に人間の善と悪、動と静、生と死を多面的に描いています。プロットはシンプルですが、複雑で難解、読者に一切媚びのない、このフォークナーに必死にしがみついて読了しました。原書で読んでいらっしゃるリスペクトするK氏に一冊集中読書を勧められ、なんとか、この作品を読み終えられた事に感謝です。ドストエフスキー以来の読み応えのある作品でした。2016/10/09
ペグ
71
再読。やはりフォークナーは凄い。 色々書きたいけれど、多面的な人物像、立体的な物語の構成は説明になってしまいそうで書けない。フォークナーが好きだ。2017/12/02