出版社内容情報
天災と大資本によって先祖の土地を奪われた農民ジョード一家。苦境を切り抜けようとする、情愛深い家族の姿を描いた不朽の名作。
ロッキー山脈を越え、アリゾナ沙漠を渡り、夜は野営地でテントで過ごしながらカリフォルニアを目指すジョード一家。途中、警察から嫌がらせを受けるも、ひたすら西へ西への旅が続く。希望に満ちて“約束の地”に到着したが、そこは同様な渡り人であふれていた。彼らを待っていたのは、不当に安い賃銀での過酷な労働だけだった……。旧約聖書の「出エジプト記」を思わせる一大叙事詩。
内容説明
ロッキー山脈を越え、アリゾナ沙漠を渡り、夜は野営地のテントで過ごしながらカリフォルニアを目指すジョード一家。途中、警察から嫌がらせを受けるも、ひたすら西へ西への旅が続く。希望に満ちて“約束の地”に到着したが、そこは同様な渡り人であふれていた。彼らを待っていたのは、不当に安い賃銀での過酷な労働だけだった…。旧約聖書の「出エジプト記」を思わせる一大叙事詩。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
123
幾多の苦難を乗り越えて辿り着いた憧れの地カリフォルニア。だがジョード一家を待ち受けていたものは厳しい現実。貧しき人々は僅かな仕事を求めて駆けずりまわり、岩に爪を立てて必死に暮らす。果実はたわわに実り豊作であるのに、それ故暴落し多くの作物が捨てられ燃やされ、働き口の無い人々は飢えてゆく。小林多喜二が「蟹工船」を書いたのもほぼこの時代。これもプロレタリア文学になるのだろう。だが、それだけではない家族の絆をしっかりと描いた作品という印象も強く残った。そして悲しみの中に光りが見えるラスト圧倒されました。★★★★★2016/01/04
巨峰
86
ついにカリフォルニアに辿り着いた家族。しかし、そこで待っていたのは短期的な働き手だけを求める資本家だった。過剰な働き手たちは仕事にあぶれ難民化し、暴動を警戒するカリフォルニア地元民と対立を深める。多数の難民が流入し流浪する現代社会を考えると今日性があるテーマだと思う。過酷な状況の中削り取られていく家族の絆。支えるのはなんとも肝っ玉の大きな『お母さん』だった。女性は強ええ!最後のシーン、ノアの方舟を思い起こさせるような大洪水、富める者も貧しき者も流される中のラストが本当に印象的でした。読んで良かった☆2016/11/30
やいっち
81
読了。まさかこんな結末とは! 全く思いもよらない終わり方。だからスタインベックは素晴らしい作家なんだ。読みながら、救いはないよね。今さらハッピーエンドじゃ変だし、どんな土壇場になるのか、ずっと心配だった。杞憂だった。スタインベックなんだよな! 2019/12/22
えりか
62
力強さと愛を感じる話だった。頑張っても頑張っても天災と資本主義が彼らを襲い、報われることはない。それでも決して諦めないのは、不屈の精神と家族の強い絆があるからだ。「人が生きる」とは、互いを助け合い、やるべきことをやるということ。人には役割があるのだと思う。人を導く役割、誰かの背中を叩き励ます役割、明るさを運ぶ役割。落ち込んでいる暇はない。最後は人としての尊さと優しさ、愛を感じる素晴らしい終わりだった。シャロンの薔薇に神々しさを感じた。力が沸いてくる、心を奮わす。今日からまた前を向いて生きていく。2016/10/23
mii22.
61
苦しい苦しい読書となった下巻。いくつかの悲しみを乗り越えてやっとたどり着いた新天地は、ジョード一家と同じような渡り人で溢れていた。保安官からの嫌がらせや不当に安い賃金での労働。一家で一日桃や綿を摘んでもその日の夕食をお腹いっぱい食べられない。その日暮らしのなかで家族は助け合い自分の役目を果たそうと懸命だ。特に家族の最後の砦とも言える母の強さと大きな愛には励まされ心うたれた。印象的なラストシーン、シャロンの薔薇の行いには温かいものが胸にひろがり、あぁ最後まで読んできてよかった..と心から思った。2017/02/28