内容説明
僕たち結婚しよう。二人で新しい生活を始めるんだ…。お互いに家庭のあるジェリーとサリーは、人目をしのんで愛しあい、ついにそう決意する。それぞれの妻や夫との確執や対立を乗り越えて、彼らは晴れて夫婦になれることになるのだが…。アメリカ東海岸のロング・アイランド海峡に面した美しい町を舞台に、二組の若い夫婦がくりひろげる長い夏の日のラブ・ストーリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
田中
27
結婚している二組が、互いに隠れて密通している。そんな後ろめたくもあり、喜びがある熱愛感情をアップダイクの華麗な文章が、巧みに映しだしていく。ジェリーとサリーは極めて純愛路線であり、両者の会話が愛の深層まで突き詰めていく。が、いざ離婚して一緒に暮らすとなると、現実的な「居心地の悪さ」をジェリーは想像してしまう。心の奥底から揺るぎない愛をささげているはずなのに。再婚することで生じる罪悪感なのか違和感なのか。理想の姿相と現実のありようは、なかなか難しい。そうなってみて初めて別の感情がわき起こるから辛いのだ。 2023/03/04
tjZero
6
題名はスイートだけど、中身はビターなラヴ・ストーリー。ふた組の夫婦間で起こった、不倫騒動の顛末。4人の心の動きが、手にとるようにわかる。風景、情景、生物、静物、日用品、事件…描写されるすべての事象が彼らの感情の流れとリンクしていて、読者の脳内に色彩豊かな画となって像を結ぶ。単語のひとつひとつが意味ある部品となって噛み合った、精密時計のような小説。2021/02/04
乙郎さん
4
江國香織さんが海外の長編小説ベストテンに挙げてた。いわゆる不倫小説で、正直に言ってあまり好きなジャンルではなかった。おまけに、ジェリーとサリーの二人がどうもいけすかなくて、ジェリーの妻ルースのヒステリーが妥当とさえ思ったくらい。そう思っていたらラストの章「ワイオミング」でびっくり。ええっ?これはもう一度読まないと。2009/08/26
amanon
3
男とはかくも身勝手で子供じみてしょうもない生き物なのか?人妻とのダブル不倫。その事情が妻に知られることになっても、双方とセックスを続けるという優柔不断さ。こうなると殆どどっちもどっちだな。ある意味開けっぴろげでいいとも言えるけれど、大方の日本人には理解できない感覚にちがいない。それから個人的に呆れ果てたのが、何度も啓示を受けたと言いながら、それを覆すこと。啓示ってそんなに軽いものだったのか?でもそんな茶番すれすれのストーリーが妙に愛おしく、二組のダメ夫婦もなぜか憎めない。特にリチャードが意外にいい奴。2018/12/08
水蜘蛛
1
結婚してないので、不倫などの結婚における問題が実際どういうものなのか分かりませんが、ただアップダイクの文体は息を呑むほど美しいと思いました。2011/07/02