感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
akubi
3
○フィラデルフィアの友だち○ 君と会うための口実に。でも君の眉毛はそっとしておいてほしいんだ。 ○追い込まれたエース○ 何気に、これはほんとうに、夫婦がうまくやってゆく秘訣なのだよ。 ○明日が、そして明日が、またその明日が○ そうだ、人生なんていつだってインチキだ。そうんなふうにいつかどこかの王様が、呟いた。 ○歯医者と疑惑○ 歯医者の腕を信じるしかないあの瞬間。そして何度も通わせられる静かな強要。 ○少年の口笛○ 本気で気を散らしにきたら、君に敵うものなんてないな。と優しき男たちは思うのだった。2019/08/06
紅葉まんじゅう
3
「マッチをすったつぎの瞬間から、ピッツバーグに向かって長い不規則な坂道を降りてゆくにつれて、一瞬一瞬が短くなってゆくような気がした。ぼくがどうしてそれほど幸福感を味わったかというと、それには様々な理由がある。ぼくたちは目的地に向かっている。ぼくは夜明けを見た。……」「もっとも幸せだったこと」 なんてことない表現で日常を描く。夜中の空気がする。「追いこまれたエース」の、ラジオに合わせて踊ってしまう、終わり方が好き。2015/07/07
ころっぷ
2
何気無い日常を飾らない言葉で描写した、特に大手を振って人に話さなければいられない様な出来事でも無い。しかしふんわりとした思考が自在に紡ぐ軽妙な文体の底には、何とも形容し難い感情の澱が溜まっていく。忘れかけていて、後生大事に連れ回す必要も特になさそうな人生の些細なエピソードに、独特な光彩の膜を纏わせる様な作品群だ。アップダイクの作品は初見だったが、実に味わい深く楽しめた。2015/07/12
訃報
2
原書を先に買ったが歯が立たなかったのでこちらと比べながら。でわかったのは、語彙の選択、言い回しの独特さ。ここにこの形容詞?なして?という感じで意味が取りにくい部分が多く、翻訳では基本的に意訳していたが、原文ではその曖昧さがイメージを膨らませていたような。けったいな話はひとつもなく、そういう意味では全然難解じゃなく、書いてあることはすっと入ってくるが、噛み砕くに砕けぬコリコリした軟骨みたいなものが残り、首をひねり続ける始末。なんというか、玄人向けの作家なのだろう。レトリックの面白さは感じたが、構成を理解でき2012/11/16
aspentree
1
日常生活の中に人間や時代の真実の姿を求める作家らしい短編集。ちょっとした出来事、たまたま目にしたものによって、すっかり忘れていた過去の時間が一気によみがえってくるような、そんな一遍が多い。世間を賑わせている流れや出来事から人間を語ろうといういうタイプとは違う故、私は好みの作家です。2014/09/29
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