著者等紹介
ジッド[ジッド] [Gide,Andr´e]
1869‐1951。フランスの作家。厳格なプロテスタントの家庭に生れる。1891年、従姉マドレーヌと恋に落ち、結婚するが、この恋愛体験と結婚生活が後に創作のテーマとなる。道徳の遵守、反逆などを悲劇的に描いた『背徳者』『狭き門』『田園交響楽』、喜劇的に扱った『法王庁の抜け穴』、視点や構成を複雑化した大作『贋金つかい』等、多数の著書がある。1947年ノーベル賞受賞
今日出海[コンヒデミ]
訳者。1903‐1984。北海道生れ。東京帝国大学仏文科卒。’50(昭和25)年、小説「天皇の帽子」で直木賞受賞。文化庁初代長官を務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アムリタ
15
40年近く再版されていなかったジッドの「地の糧」が新潮文庫からヨルシカとのコラボレーション限定カバーと共によみがえり異例の売上げとのこと。 それはそれとして、全編を貫く散文詩は、 「頭の学問を止めよ」 「平和な日を送るよりは、悲痛な日を送ることだ」 「周囲を捨てよ、君の家庭、君の書斎、君の過去ほど危険なものはない」 と続く。 欲望と快楽、本能の讃美の書。 そこを突き抜けた先にジッドが求めたのは意外にも、本来無一物という禅の境地に限りなく近いもののように感じられた。 読み終えてまだ眩暈に似た感覚のまま。 2023/07/07
孤島天音
12
ところどころに出てくる果実や音、情景の描写がインスピレーションや郷愁、希望、、、(うまく言葉にできない感覚)を引き出してくれる。そしてこの感覚はこの本に書いてあるように「この本を捨てて」外に出ないと真に味わえないかもしれない。実際に本を捨てる勇気はないけど、もっと外に出て、自然界の色々なものを通して得られる感覚を求めてみるのもいいかもしれない。2023/07/30
ハルト
11
読了:◎ 何度もくり返し読みたくなる書。詩的な言葉がするすると、流れこむように身体に浸透してくる。青春の書であり、欲望の書でもある。すべてに共感するということはないけれど、それでも、冬を越し春を迎えた植物たちが地の糧を養分として吸いとり、新たに目覚め、芽生え、成長していく姿は、若々しい青春を背負った一人の青年のことを思わせる。青年の経験に書は大いなる影響を残すからこそ、一読すればよく、あとは体感として青春を、欲望を浴びればよい。書物というのは欲望の疑似体験なのかもしれない。2023/05/31
さり
8
内容的に学びがあっておもしろい 文体が本を読んだ人だったんだろうなって感じる。個人的に、、あまりすきじゃない2023/07/28
タヌキネコ
5
ヨルシカコラボのカバーが印象的だったのと、裏表紙に「寺山修司が『書を捨てよ、町へ出よう』と引用したことで知られている詩集、思想書。」と、書かれていた言葉がなんだか印象的で衝動買い。 全ての命やこの世界の美しさ、素晴らしさをただ肯定するような本に私には感じられた。 もうとっくに中年だけど、この本一冊だけ持って、自然の中でのんびりするような旅がしたくなった。いや、書は捨てなきゃいけないのか?2023/06/18