内容説明
本書はニーチェ発狂の前年に成った最後の著作である。“この人”とはニーチェ自身を指し、本書では自らの著作と思考の全体について、彼が時代とどう対決し、個々の著作はどういう動機によって書かれたかが、解明される。価値の根本転換を説くニーチェの思考の到達点が簡明に語られているので、ニーチェ最高の入門書として、また風変りな自伝としても読むことが出来る。新訳決定版。
目次
なぜ私はかくも賢明なのか
なぜ私はかくも怜悧なのか
なぜ私はかくも良い本を書くのか
悲劇の誕生
反時代的考察
人間的な、あまりに人間的な
曙光
悦ばしき学問
ツァラトゥストラかく語りき
善悪の彼岸
道徳の系譜
偶像の黄昏
ヴァーグナーの場合
なぜ私は一個の運命であるのか
著者等紹介
ニーチェ[ニーチェ] [Nietzsche,Friedrich Wilhelm]
1844‐1900。プロイセン(現ドイツ)ザクセン州に生れる。ボン大学、ライプチヒ大学で古典文献学を学び、スイス・バーゼル大学の員外教授となる。晩年は精神錯乱に陥り、ワイマールで死去
西尾幹二[ニシオカンジ]
1935年、東京生れ。東大独文科卒。文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マエダ
108
本書はニーチェ最後の書である。本について語っている部分で、”読書は私を私自身から解放して、自分とは無縁な学問や魂の中を私に散策させてくれるものの部類に入ってしまうのである。私一流の本気から休養させてくれるものなのだ。”といっている・・さて本読も2016/04/27
マンセイ堂
50
ニーチェは孤独と世間からの批判に苦しんだのかなと思いました。彼の考えはとても革新的に感じます。神の否定であったり、善や悪の独自の発想であったり、我欲を奨励し無欲を批判するものであったり、今まで道徳と呼ばれていたものをことごとく批判しました。特にドイツ人に対する批判は痛烈で面白かったです。2013/11/23
壱萬弐仟縁
46
BOOKOFFで108円にて1月25日に購入。給料日だったからか。典型的に健康な人間にとっては、病気であることが生きること、より多量に生きることへの強力な 刺戟(傍点)にさえなり得る(19頁)。病気であり虚弱であるときに人は何ひとつとして振り捨ててしまうことが出来ないし、何ひとつとして終りにしてしまうことが出来ない。何ひとつとして突き返すことができない。―何をやっても自分が傷ついてしまう(28-29頁)。2017/04/08
扉のこちら側
43
初読。この本の校正中に人格崩壊したニーチェ。執筆中から狂気の淵へと歩んでいったのだろう。章題が「なぜ私はかくも賢明なのか」「なぜ私はかくも怜悧なのか」「なぜ私はかくも良い本を書くのか」「なぜ私は一個の運命であるのか」というのも驚きだし、タイトルの「この人」もニーチェ本人だというからたす凄い。2013/04/04
赤い熊熊
13
最初のほうは解りやすかったのだけど、ページを進むとわけがわからなくなる。何を言いたいのかわからないでもなお、ニーチェの自己を語る姿はかなり面白い。2016/04/21