出版社内容情報
チャールズ・ディケンズ[チャールズ ディケンズ]
著・文・その他
内容説明
誕生まえに父を失ったデイヴィッドは、母の再婚により冷酷な継父のため苦難の日々をおくる。寄宿学校に入れられていた彼は、母の死によってロンドンの継父の商会で小僧として働かされる。自分の将来を考え、意を決して逃げだした彼は、ドーヴァに住む大伯母の家をめざし徒歩の旅をはじめる。多くの特色ある人物を精彩に富む描写で捉えた、ディケンズの自伝的要素あふれる代表作。
著者等紹介
ディケンズ,チャールズ[ディケンズ,チャールズ][Dickens,Charles]
1812‐1870。英国ポーツマス郊外の下級官吏の家に生れる。家が貧しかったため十歳から働きに出されるが、独学で勉強を続け新聞記者となる。二十四歳のときに短編集『ボズのスケッチ集』で作家としてスタートし、『オリバー・ツイスト』(1837‐39)でその文名を高める。他にも自伝的作品『デイヴィッド・コパフィールド』(1849‐50)など数々の名作を生んだ国民的作家
中野好夫[ナカノヨシオ]
1903‐1985。愛媛県松山市生れ。英文学者・評論家。東大英文科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
257
本作は著者自身が物語の初めに書いているように自身の半生を描いた自叙伝的な物語の第1巻。デイヴィット少年が誕生してから、10歳に成長するまでを描いている。自叙伝的と表現したのは、ディケンズの境遇とデイヴィットの境遇とでは、かけ離れた個所があるので、いわばディケンズの心の内を表現した心象的自伝といったほうが適切だと思う。以前から本作を手に取ろうと思っていたのですが、現在に至ってしまった。1999年にBBCアメリカとボストンのテレビ局WGBHによって共同制作され、2000年にアメリカTV番組として放映された。2021/10/31
NAO
64
【誕生月にディケンズ再読】人形のように可愛いけれど世間知のない母、全ての人を型にはめ自分に従わせずにはいられない義父、変人の大伯母。ディケンズの作品には、戯画的な人物がよく登場する。この大伯母は、『荒涼館』のジャーヴィス氏と同じタイプで、彼らのような良識を持ち合わせている人間が世捨て人となり変人として扱われるのは、ディケンズの皮肉だろう。大伯母がディヴィッドに示した3つの約束を彼が守れるかどうか、ディヴィッドの試練は始まったばかりだ。2017/02/01
優希
46
いきなり波乱万丈な展開で戸惑いました。幼い頃から大人でも苦痛な人生が待っていたのですね。意を決して徒歩で旅を開始するのが唯一の解放だったのかもしれません。続きも読みます。2024/01/23
ジェニィ
32
ディケンズの自伝的小説で、(1)は、出生〜家出をして大伯母の元へ行くまでのお話である。主人公には父が居らず、母の再婚相手とその姉がとんでもないハラスメント野郎であり、彼らに母親が苛められて亡くなってしまう。さらに、主人公はしたくもない労働を強制されたことで、助けを求めて大伯母の家に逃げ出す。この内容だけ見るととても陰鬱な印象を抱くが、登場人物に本能的で野性的な個性が漲っているためか、極端な感じは全く無い。むしろ夢と現実が混在しているような、文学性・エンタメ性をともに両立する素晴らしい文学作品となっている。2025/01/31
田中
32
「マードストン姉弟」の専横ぶりが憎々しい。継父マードストンに厳しく矯正される子供デイヴィット。冷血漢ぶりを「再婚」してから知り、取り乱す世間知らずの母親。継父に痛めつけられる息子を庇いきれなかったし、母親自らの寿命を逸するのが哀しい。ちやほやされる美人だけに外貌に騙されやすいのかもしれない。子供は子供なりに将来を案じ、自己防衛を考え、わずかな血縁を頼るのが切ない。誰にでもある感情の細かい揺らぎを描くディケンズの面白さ。それにしても「継父」の暴力問題はいつの時代でも許せない。2021/07/31
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