新潮文庫
オリバー・ツイスト〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 372p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784102030059
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

救貧院の孤児として育てられたオリバーは、食べ物も満足にあたえられず、煙突掃除屋や葬儀屋に「貸出」される仕打ちに耐え切れず、9歳のある日そこを抜け出してロンドンへ向かう。オリバーは、道中で出会った少年に案内されて、とある家に泊まることができたが、そこはユダヤ人フェイギン率いる窃盗団の巣窟だった。いやいや一味に加えられたオリバーは、早々に警察に捕まってしまう。

著者等紹介

ディケンズ,チャールズ[ディケンズ,チャールズ][Dickens,Charles]
1812‐1870。英国ポーツマス郊外の下級官吏の家に生れる。家が貧しかったため十歳から働きに出されるが、独学で勉強を続け新聞記者となる。二十四歳のときに短編集『ボズのスケッチ集』で作家としてスタートし、『オリバー・ツイスト』(1837‐79)でその文名を高める。他にも自伝的作品『デイヴィッド・コパフィールド』(1849‐50)など数々の名作を生んだ国民的作家

中村能三[ナカムラヨシミ]
1903‐1981。福岡生れ。旧制福岡高校中退。職業翻訳家の草分けとして、戦前から多数の翻訳を手掛けた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

322
タイトルに主人公の名前が冠されているものの、この巻ではオリヴァーはまだ幼いといってもいいくらいの子供であるために、主体的な行動は取り得ない。ひたすらに運命に翻弄されてゆくばかりである。この巻の中心は、そうしたオリヴァーを取り巻く、当時のロンドンにこそあるだろう。あらゆる意味で劣悪な環境の中に置かれているのだが、そうした底辺社会の活写はジャーナリストだったディケンズの面目躍如たるところ。また、身寄りのない子供たちを救済しようとの制度は一応はあるようなのだが、作家はまたここでも制度に巣食う者たちを描いていく。2016/06/18

扉のこちら側

102
2016年392冊め。【189-1/G1000】古くは1380年代まで遡る英国の救貧法だが、この作品は19世紀を舞台としているので、ナポレオン戦争後に改正された新救貧法時代の話。その後の20世紀「福祉国家」となる前の夜警国家の問題点を浮き彫りにしている。なんとも運や間が悪いとしか言いようのない不幸に次々襲われ翻弄されるオリバー少年。下巻へ。2016/06/10

sin

85
読み比べ:)翻訳は岩波版よりとっつきやすい。さて啓蒙された現代の自分達やこの書に感銘を受けた当時の知識人にとって救貧院のありさまはむごたらしく心が痛む、しかし作者の救貧院をとりまく人々の扱いはあまりにも一方的で公正を欠きはすまいか?そして現代に生きる自分達といえど当時を糾弾することはできない。生まれや貧富の差による差別意識は消え去っていないのだから◆英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1000冊を読破しよう!http://bookmeter.com/c/3348782016/02/26

nakanaka

81
最近読んだ「荊の城」の中に「オリバー・ツイスト」の一節があったので読んでみた。有名な作品のようだが2005年制作の映画の予告編で触れた程度の私。同年代が舞台の「荊の城」や映画の予告編からも感じられたように陰鬱な雰囲気が作中に溢れている。不衛生で過酷な環境で暮らす孤児院の子供たちや泥棒を生業とする下層の人々が登場人物のせいなのか。それでも純粋無垢なオリバーに救われる思いもするが、彼の不運はどこまで続くのか。下巻に期待。2020/07/15

びす男

58
行き倒れた女の子供として救貧院で生を授かったオリバーは、保護者もいないまま、幼くして社会の荒波に揉まれていく。悪い環境が悪い縁を呼び、彼は負の連鎖からなかなか抜け出せない。オリバーの優しく素直な性格は物語の随所で光っているが、彼を囲う境遇は底が見えぬほどに暗い。「ぼくは逃げ出すところなんだ。どこか遠いところへ行って、運だめしをしようと思っているんだ」…。そうだ、逃げろと、心の中で彼を応援する。そんなところにいる必要はない、逃げろ、と。社会の暗部が君を押し潰してしまう前に。後編も読んで書評かきます。2014/11/25

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