出版社内容情報
ドイツのある観光地に滞在する将軍家の家庭教師をしながら、ルーレットの魅力にとりつかれ身を滅ぼしてゆく青年を通して、ロシア人に特有な病的性格を浮彫りにする。ドストエフスキーは、本書に描かれたのとほぼ同一の体験をしており、己れ自身の体験に裏打ちされた叙述は、人間の深層心理を鋭く照射し、ドストエフスキーの全著作の中でも特異な位置を占める作品である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
122
作者には物語の絵図がすでに頭にあったのか、いきなり見知らぬ登場人物達に囲まれるような始まり。一度でも賭博場に足を踏み入れたら、我を忘れ、興奮に取り憑かれ、全てを失うまでやめられなくなる者がいる。賭博場は彼らの魂を喰い尽くす。彼らはそれで地獄を見ても、ほんの僅かの金を手にすると再び吸い寄せられるように舞い戻るのだ。それはかつてのドストエフスキーの姿でもある。お金が必要でした契約のためにどうしても書かなくてはいけなかった長編。それを口述筆記によって急いで仕上げられた作品である。筆記者はその後、彼の妻となった2015/04/23
のっち♬
85
「ゼロだよ。とにかくゼロに賭けるんだ」家庭教師先の将軍家に連れられて温泉地へやって来た主人公がルーレットにのめり込んで身を滅ぼしていく。序盤は人間関係を説明した淡々とした筆致だが、舞台が賭博場へ移ると、金の利害関係や男女問題も絡んで勢いとテンションが一気に上がる。起爆源は裕福なお祖母様の参戦で、コミカルな描写が愛憎入り乱れたストーリーに彩りを添えている。泥沼の恋愛すら脇へ追いやる賭博狂の昂揚、饒舌な登場人物の掛け合いなども著者の経験が重なるためか実に臨場感豊か。破滅への誘いもまた理性で対処し切れないのだ。2018/07/27
こばまり
71
恥ずかしながら『カラマーゾフ』に続いて二作目のドストエフスキーです。一癖も二癖もありそうな面々がさっと配され、あれよあれよとドラマが始まる小気味よさ。なんといっても白眉はお祖母様だ。私はこの人物を殆ど愛してしまった。“人生は一つの壮大なコントなのだ” こんな一言が心に浮かびました。2015/07/30
Major
70
『賭博者』における自己疎外と生の反逆ー「数量化」される近代システムと内なるSomethingへの直入 No.3 ー 【おわりに ―他作品への影響と現代文学への射程】『賭博者』という結晶の中に閉じ込められた「不合理性の肯定」と「悔いなき自己疎外」のエネルギーは、のちのドストエフスキーの5大長編へと脈々と受け継がれていく。本作とほぼ同時期に執筆された『罪と罰』のラスコーリニフは、「選ばれた非凡人は法を越える権利がある」という思想の数量化に囚われ、殺人を犯す。→2026/09/07
ω
50
ルーレットやってみたくなる😺!笑 ドス作品らしさ満載。賭博のシーンなんかは大盛り上がり。お祖母さんサイコー‼️もっとやれー‼️ってなります。 本作は当時、ドスが債権のカタに急いで書かされたもので、たった27日で口述して速記者に書かせた長編とのこと😂エピソードが笑2023/03/08




