出版社内容情報
月原 渉[ツキハラ ワタル]
著・文・その他
内容説明
死んだ母のルーツ香港に、私は向かった。裏社会の長である祖母に遺骨を渡すために―。同世代の二人の香港女子に出会い、徐々に知らされる光と闇。暗黒市場に欲望が渦巻き、女だけが入れる城が謎を孕む。富と貧困を支配する九龍城の奥で、異様な連続殺人の幕が開く…。残された麻雀牌、切り取られた指。謎の血手形が意味するものとは。忌まわしき真相とは。本格ミステリーの傑作。
著者等紹介
月原渉[ツキハラワタル]
1978(昭和53)年神奈川県生れ。2010(平成22)年、『太陽が死んだ夜』で鮎川哲也賞を受賞し、デビュー。日本推理作家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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雪紫
67
電子書籍にて読了。ミステリというより、1980年代の香港の暗部と情勢、少女達の友情物語として捉えた方が面白く読める。実際読んでてそそられるのは香港の情景や空気、それゆえに築かれた背景なので(なお、第1の殺人における犯人否定の根拠好き)。なお、あらすじで女人禁制と聞いて女装男子紛れ込んでるんじゃ。と疑いながら読んでたけどそんなことはなかったぜ!とりあえずわたしがこのひとに抱いてる百合好きミステリ作家疑惑は、少し濃くなったけどまだ濃いグレーで。2023/01/19
さとか
44
はぁ〜❣️これ超絶好きです🤗もっと話題になってもいいのにー!舞台は中国返還直前の香港。血のルーツ、コミュニティが抱える矛盾、貧困層の集うキリスト教会の財政難など、一昔前の中華人たちの生活の有り様がしっかり書かれていてノスタルジー👍街の散策シーンは、ほんとに主人公たちと現地に行ってるかのよう。謎解き部分は分かりやすいけど、最後にどんでん返し待ってます‼️旅行に行けない今、世界観がしっかりしている作品ありがたい〜😭旅行好き、ミステリ好きにもオススメします‼️2022/09/08
坂城 弥生
43
3人が笑い合える日が訪れますように。2022/11/09
うまる
38
男子禁制の九龍城ってだけでもワクワク。ただ集まった人が出られなくなって、というクロサーとは一味違い、事件の舞台に向かうまでの展開や背景が、しっかり作られている所が面白いです。ミステリと社会の闇の融合も良くできていて、全体的に映画を観てるみたいに楽しめました。目指す所は同じでも、問題の解決の仕方は人それぞれ。でもちょっとした違いで協力できたかもしれなくて、もっと違う結末があったんじゃないかと、やるせない余韻が残る所も好きです。シズカさんじゃない月原さんを初めて読んだけど、イイネ!2022/09/08
キナコ
28
探偵シズカのシリーズかと思っていたら、別作品。香港を舞台としたストーリーのため、登場人物の名前や地名が分かりにくくはあったが、スラムやマフィアも登場しサスペンス感が強めのミステリー。追い詰められた人の執念というか、現実的な選択しというか…幼いながらも貧しさと向き合っていく少女との関わりのなかでの成長が楽しめた一冊。2023/07/23