出版社内容情報
これは、恋愛小説なんかじゃない。事故で寝たきりとなった、美少女で高飛車で大金持ちで天才探偵の甘宮メル(属性盛りすぎ!)と、メルに献身的に付き従う、寡黙で結構かっこよくて彼女の前ではちょっとだけ気障(きざ)な彼氏兼助手の江名(エナ)。都市伝説や日常の謎を気まぐれに解決していく二人。一見すれば誰もがうらやむカップルに思えるのだが、実は彼らには、絶望的な秘密があった――。異色の青春全否定暗黒恋愛ミステリ。
内容説明
事故で寝たきりとなった、美少女で高飛車で大金持ちで天才探偵の甘宮メル(属性盛りすぎ!)と、メルに献身的に付き添う、寡黙で結構かっこよくて彼女の前ではちょっとだけ気障な彼氏兼助手の江名。都市伝説や日常の謎を気まぐれに解決していく二人。一見すれば誰もが認める純愛カップルに思えるが、実は彼らには、絶望的な秘密があった―。異色の青春全否定暗黒恋愛ミステリ。
著者等紹介
彩藤アザミ[サイドウアザミ]
1989(平成元)年岩手県盛岡市生れ。岩手大学教育学部芸術文化課程卒業。2014年『サナキの森』で新潮ミステリー大賞を受賞しデビュー。耽美な世界観を描く精緻な筆致と軽妙なキャラクター同士のやりとりが魅力(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いたろう
70
デビュー作「サナキの森」は、おどろおどろしい怪異譚とラノベ的な軽妙な文章パートが混在する風変わりな作品だったが、その後の作品は、本当に同じ作者なのかという程、重厚な怪異譚・幻想小説とライトなミステリに二分される。そして本作は、ライトなミステリの方。主人公は、下半身付随で病院のベッドに寝たきりの「安楽寝台探偵」の美少女とその恋人の高校生の少年。謎解きをする2人の間には、何か重い過去があるようだが・・・。彩藤さんの作品は、雰囲気のある怪異譚の方が好きだが、ライトなミステリの方も、工夫があってなかなか読ませる。2022/09/30
よっち
34
寝たきりの高飛車美少女で大金持ち天才探偵の甘宮メルと、彼女に献身的に付き従う寡黙な彼氏兼助手の江名。二人が都市伝説や日常の謎を気まぐれに解決してゆく青春全否定暗黒恋愛ミステリ。女子高校生小説家をめぐる嘘と真実、殺人鬼予備軍をめぐる顛末、もうひとりの幼馴染との再会と格差再生産、二人のデートと過去の真相。重い社会的テーマを背景とした事件の解決に挑む二人でしたが、何よりも一見強気そうでもどこか不安で何回もエナを試してしまうメル、その献身は贖罪なのか愛なのかが問われるエナの何とも絶妙な関係が印象に残る物語ですね。2022/07/05
ミーナ
20
病室で暮らすわがまま美少女 メル。献身的な彼氏エナ。退屈しのぎにメルは様々な要求をエナにつきつける― 不穏な空気を隠した甘さ。先に甘いものを食べると、後から食べた苦いものがとりわけ苦く感じるように、真相の闇の深さが際立つ。特に、まだ免疫のない第一話はとても驚いた。甘いだけのお話だと読み通すのが厳しいので、なんでもこのくらいの毒があればいいのに。2022/08/05
coco夏ko10角
19
ある事故で寝たきりになってしまった美少女探偵・メルと献身的に従う助手・エナ、いくつかの謎や事件。一話では学校の文学部でトラブルが。こういう感じでいくのかと思ったら二話が結構やばくて三話もブラックな部分があってなかなか。そして最終話で明らかになること。キャラ設定や過去の出来事による関係性とか下手すると破綻しそうだけど作品として成立してるのはさすが。2023/10/20
アオイ
19
これは歪んだ純愛ストーリーであり、純粋すぎる贖罪の物語だと思う。 お互いが考えている以上に相手は自分を想っているのに、その感情の確かさを不在証明として求めるメルの姿は痛々しく愛おしかった。欲しくて手を伸ばしたいのに、その手を握り返してもらえない可能性の恐怖との二律背反の感情そのものを体現しているようだった。 きっと世間一般の価値観から見た2人の感情は最初からどこかずれていて、それが決定的になったのはあの事故からなのだろう。遅かれ早かれ、複雑すぎる思考回路の2人の関係は拗れていそうな気もするが…。2022/08/17