内容説明
新山遥には、死の近づいている人がわかる。十歳で交通事故に遭い、両親と妹を失ったころからだ。なぜこんな力が自分にあるのか、なんのためにこの力を使えばいいのかはわからない。けれど見て見ぬふりのできない彼は、死の近い人々に声をかけ寄り添う。やがて、二十四歳になった遥は、我が子の誕生を待っていたが…。愛する人を想う気持ちに涙があふれて止まらない、運命の物語。
著者等紹介
浅原ナオト[アサハラナオト]
会社勤めの傍ら、小説投稿サイト「カクヨム」に2016(平成28)年10月より『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』を投稿開始。2018年に書籍化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こーた
136
主人公が脇役として振る舞う三幕まではまずまずであったが、視点人物となる四幕以降が残念であった。章題が、実在する映画のタイトルになっているように、映画に拠るところが大きいのだが、そのわりにはあまり活かせていない(活かす気がない?)ようにおもえる。まあ映画って、内容よりはどこで観たとか誰といっしょだったとか、そういうことのほうが鮮明に憶えていたりするものだけど。⇒2025/01/23
モルク
103
10歳の時交通事故で父母と妹を亡くし叔父の家へ。その頃から死に近づいている人を見るとわかるという主人公遥。彼が大人になっていくまでの連作短編集。自分の特殊な能力を冷静に受け止め隠したりしない。そして死にゆく本人にも真実を告げる。そして遥の生まれてきた子供にも死の予兆が見えるが…「命は、海から来て、海に帰る」の意味を知る。もっと軽い作品と思っていたが、いやいや、なかなか感慨深いものだった。作者の浅原ナオト氏は昨年病気で38歳という若さで亡くなっていたことを知る。残念でたまらない。他の作品も読んでみたい。2024/06/20
夜長月🌙新潮部
76
私は死にます。それは誰にも訪れる必然です。この作品は死がテーマですが見事に「生」を際立たせています。死を目の前にして人はどうするか。限られた命を生きるからには幸せになってほしい。それぞれのドラマにとても感情移入してしまいました。2022/07/15
ジュン
68
マンガの様な軽い表紙とは違い、死と向き合う事で生を考える中身の濃い本でした。リビアで起きたアメリカ在外公館襲撃事件で亡くなった外交官の言葉、“Assuming we don’t die tonight”から発想したタイトル。誰しも明日の事は分からない。主人公 新山遥が他人の死が見える能力を通して、自分の生きる意味を考えた様に、自分もこの本を通して学んだ事は大きい。特に最後の章で遥が10歳だった頃の話しが良かった。意味なんて無くていい。ただ生まれて生きていることが尊い。当たり前の日常を大切に生きたい。2023/10/04
佳蓮★道央民
63
★★★★★★★七つ星👏これは帯に『泣けます。』って書いてて、帯に負けたくなかったけど、泣いてしまいました。好きな彼女と遥の子供の章にはボロボロ涙して、途中ページが開けなくなり、一旦中断して再開したらあっという間に全部読み終わってしまいました。とっても凄く良い物語でした。『人の死』が視える能力の男の子の遥って子が主人公です。私も死にたい気持ちは時々現れるけど未だに生きてて『生きる意味』がまだ分かりません。けど、彼氏がいるから死ねなくて。大事な人がいるだけで生きる意味はあるのかもしれませんね。オススメです。2021/08/18