内容説明
20世紀初頭、人類の目は地球最後のフロンティア・南極大陸に注がれた。極地探検を夢見て40年、白瀬矗中尉はアムンゼン、スコットら世界の一流探検家たちに伍して、木片のような小船で島国日本を後にする―。国家意識の〓揚期・明治時代を背景に、未踏の地を目指す情熱のみに支えられた男たちの壮大なロマンと葛藤、そしてそれらすべてを押しつぶしてしまう自然の猛威を描く長編。
目次
聖将
極地
反骨
北航
遭難
北涯
越冬
穴居
筆誅
南極
再会
解纜
極光
氷海
紛争
再航
上陸
雪原
帰国
余韻
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふたば
5
白瀬中尉の誕生から、南極挑戦にいたる物語。 白瀬中尉が南極へ行こうと思った経緯、そのための下地となる行動、南極を目指しての苦闘、盛りだくさんの内容である。白瀬中尉がもたらした結果は大きい。後に南極調査に敗戦国である日本が参加できたのも、白瀬中尉と彼と共に南極を目指した隊員達の功績であることは否定できない。明治という時代、はるか極点に世界で5番目に近づいたのが日本人、しかも装備も、経験も貧弱、国も加担しない孤軍奮闘に近い状態でのこれは、快挙である。素晴らしい実績であることは歴然としている。2022/04/16