内容説明
懲役12年。この絶望的長期刑に服していた著者を支え、励ましつづけたのは、母の愛だった。荒れて駄々をこねる息子を一喝したかと思えば、ある時には看守の目をかいくぐり、雑誌グラビアを獄内に差し入れる。家に帰れば、息子が書いた細かい悪筆の小説原稿を、疲れた身体にむち打ち清書する…。母と息子が二人三脚で奮闘する、笑いと感動の獄中記。
目次
序章 母と子の愛憎
第1章 あの、蒼い日々
第2章 檻の中
第3章 「小説禁止」の死角
第4章 母の災難
第5章 『発狂寸前』
第6章 獄中の新人賞
獄の息子への手紙
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
b☆h
5
こんな親子関係いいな、って思いました。こんな家族をつくりたいし、大切な人の家族でありたい。2009/10/09
出世八五郎
4
故・見沢知廉の本はどれも同じだなと思った。けど、一冊だけでもどれかを取れば抜群に面白い。
Asaya
4
この本を原作とした舞台を観劇。息子の身勝手さを補って余りある母親の愛情の強さ、深さを知る。どこまでいっても母子は母子なのだと思う。12年の刑務所暮らしを死に物狂いで支え続け、出所10年後息子が自殺を遂げてしまう。そのお母様を劇場で見かけた。悲しさと修羅場をくぐり抜けた人にしか出来ない菩薩のような笑顔があった。いつまでもお元気でと心のなかで思った。2013/09/09
まな☆てぃ
2
来月、オフィス再生の観劇予定なので、その参考に、図書館にて。お母さんの偉大さは伝わってきたけれど、、、。この本だけでの印象で言うと、自分(筆者)が『罪を犯してしまったからソコに入っている』ということを無視しているような印象。入れられたくない所に無理やり閉じ込められて監禁されている、というような。居心地悪く、自由もない、そんな場所に入れられざるを得ないことを犯した、のは『自分』なんじゃないんでしょうかね。という感じ。。。故人を悪く言いたくはないけど。。。2015/07/31
キャッスルグレンギャリ
1
見沢氏のお母様はまさに命を削る思いで、息子が小説家で人生をやり直すことができるように尽くす。このように世のほとんどの母親の子供に対する愛情は父親のそれとは比べ物にならない、深く大きなものなのでしょう(私は父親です)。見沢氏は小説家として成功をおさめようとした矢先、結局自らの命を絶ってしまう。その結末を知っているだけにお母様が不憫でなりません。2015/10/08