内容説明
「仕事とは何だろうか?」「人はなぜ働かねばならないのか?」「生きることがそのまま仕事であることは可能か?」―引きこもりの留年生、三十過ぎの未婚OL、中年サラリーマン、元・哲学青年の会社経営者といった人物との架空対話を通して、人間が「よく生きること」の意味を探究する。仕事としっくりいかず、生きがいを見出せない人たちに贈る、哲学者からのメッセージ。
目次
1 一生寝ているわけにはいかない
2 「命を懸ける仕事」はめったに与えられない
3 仕事と能力
4 仕事と人間関係
5 仕事と金
6 金になる仕事から金にならない仕事へ
7 死ぬ前の仕事
著者等紹介
中島義道[ナカジマヨシミチ]
1946(昭和21)年生れ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。ウィーン大学基礎総合学部修了。哲学博士。現在、電気通信大学教授。専攻は時間論、自我論、コミュニケーション論
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- 評価
京都と医療と人権の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
65
初読。ああ、読書だけして生きられたら…。2013/07/14
ニクロム
40
自分が嫌いで、だから他人が嫌いで、世間にうまく適合できない。どうにもならない自己だけ大事に抱えて、理想だけは頭の中で膨らんでいく。さあ自分はどうすればいいのか。 中島義道は言う。「自分の部屋から脱出し、親の庇護から脱出し、自分の労働によって生活すること。金との引き換えという容赦のない場に自分を晒すことで、現実の厳しさを習得することができる。現実感覚が育てられていく。理想が本物か分かる。その中で生きる意味をつかむのだ。」と。繰り返されるのは、この「理不尽」な社会を偽らず、直視するということ。 2015/02/15
黒頭巾ちゃん
39
働く=仕事=お金という発想ではありません。生き方と考え方に関する本です。世の中は全て理不尽なものです。だからこそ、逆に楽して儲かる人も言うのですが、それがそうならないところが肝です。部屋に閉じこもっていないで、小さなことから徐々に行動に移し社会とかかわることにより、生きていくということを説いています。お金は社会とのかかわりの戦いで得た報酬です!!引きこもりなどの経験がある方には響きます。逆に「お金を稼ぎたい」という方は読まないでください。読了したので、欲しい方メッセージ下さい。お譲りしますm(__)m2013/06/24
豆ぽち
35
自分のことが書かれていると思うほど著者の思考に共感した。この著者は客観的に見ればかなりの変人だと思う。そして、私もかなりの変人だと自覚を深めた。「なぜ勝手に生まれさせられてなぜ死を受け入れるしかない運命を背負っているのか」著者の究極の悩みは、そのまま私を苦悩させる。正解も最適解も存在しない苦悩を抱え、尚も生き続ける不様さと潔さ。結局の所、著者が「『知りたい』という執着を断つのが一番難しい」と言っているように、世俗的な欲求には無頓着で『知りたい欲求』が異様に強いということなのだろう。だから読書は止められない2014/07/26
いっち
33
働きたくない人、仕事に生きがいがない人におすすめ。本書は「仕事に生きがいを見出せない人」との対話形式。「引きこもりの25歳学生」や「つまらないと思っている仕事にしがみつく40代サラリーマン」など。引きこもりの学生に、著者は「耐えられそうな職場で働きながら、人間関係の中で自分を鍛え、考える」よう言う。今の仕事にしがみつくサラリーマンには、「凡人にとって組織を離れる厳しさ」を伝える。必ずしも仕事に生きがいを見出せなくてもいいのか。仕事以外で「本当にしたいこと」「それを続けられる場」があれば、幸せになれるのか。2020/05/05