内容説明
薬草種を届けに奥州・一関を訪れた日向景一郎は、医師・丸尾修理と共に、疫病のため封鎖された山間の小村に向かった。そこで眼にしたものは、水に毒を盛られ、脱出を図って斬り殺された村人たちの無惨な屍の山―。隠し金山を守るため、藩が村を壊滅させようとしているのだ。圧倒的な戦力で襲いかかる藩兵たちに、景一郎の怒涛の妖剣がうなりをあげる!強腕の剣士シリーズ第三弾。
著者等紹介
北方謙三[キタカタケンゾウ]
1947(昭和22)年、佐賀県生れ。中央大学卒業後、’71年に『明るい街へ』でデビュー。’81年の『弔鐘はるかなり』で脚光を浴び、翌年『眠りなき夜』で日本冒険小説協会大賞、吉川英治文学新人賞受賞。’84年に『檻』で日本冒険小説協会大賞、『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。’88年から歴史小説にも挑み、’91(平成3)年の『破軍の星』で柴田錬三郎賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
ミスランディア本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
36
再読。前半の舞台は東北の寒村。そこでは隠し金山を巡り〝疫病〟という体の虐殺が行われていた。医師二人を守りつつ、景一郎と森之助は六百人の村人を背負う闘いを開始する。裏切り、大量毒殺、凄惨な逃避行。舞台が江戸に移っても追っ手は絶えない。橘田や丸子十郎太といった剣客、老いた忍も絡みながら、六百人を救えなかった医師の最期の闘いが、生き残ってしまった男の、それでも彼らしい死に様。丸尾修理医師は最後に人として生き尽くしたのだろう。エピローグで十郎太と景一郎がしっかり仕返しに出掛けてるあたり、人間臭くて良いな。2019/06/04
kinghaya
4
★ この巻は、初読の時にも重かった感覚だけ、覚えていて再読。確かに、読了感はスッキリしないが、今読むと、以前よりは映像化できる感じ。2019/06/25
あさえ
3
諸沢村の疫病から始まる本作。ずっと景一郎視点が多かったが、ここにきてガラっと変わった。修理先生が、水滸伝の呉用と被った。楊令伝で方臘の軍師やってた時の呉用。なんとなく雰囲気が。景一郎も、少し人間味が出てきた様に思う。2019/07/30
brink
2
今までのシリーズの中で一番の読み応え&バイオレンス。籠城戦の前半と逃亡&修理先生の戦いを描いた後半で二冊読んだような濃さ。絶対に勝てないものに抗う闘志と諦念がつらい巻でした。景一郎が達観して遠い人になってしまった分、まだ子供の森之助のこれからの成長具合も気になります。結局、このまま、シリーズ最後まで読みそう。2011/07/01
もちこ
2
シリーズ3作目。このシリーズ、だんだん登場人物がきちんと年をとっていくのがおもしろい。次は森之助がどう成長しているのか楽しみ。 江戸時代が舞台で、藩や幕府の理不尽と庶民が戦うところは「余燼」と似ていた。2011/04/21