内容説明
刑務所から二年ぶりに娑婆に戻った総会屋の木下勇次。だが、彼を待っていたのは、最愛の娘が自殺したという事実だった。娘の死の理由を調べる勇次は、その背後に投資ファンド経営者として暗躍する男の影を見て…。下請けの口を封じ違法建築に走る大手デベロッパー、行員の労災さえ認めない銀行トップなど、醜い企業論理と経済界のアウトローの闘いを五篇収録。
著者等紹介
江上剛[エガミゴウ]
1954(昭和29)年、兵庫県生れ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)に入行。梅田、芝の支店を経て、本部の企画、人事部門に勤務。’97(平成9)年の第一勧銀総会屋事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力した。2002年に、築地支店長を務める傍ら『非情銀行』を発表して作家デビュー。’03年3月、第2作『起死回生』の刊行と同時に、みずほ銀行を退行して、以後、執筆に専念している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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だいすけ
9
印象に残ったのは最後の家業再興。栃原と良一の再開の場面で、勇次が熱く説得する場面にぐっときた。2019/08/06
HoneyBear
8
エリート面して弱者の汁を吸う連中や組織に対して、出所した元総会屋が挑むという設定の短篇集。少しご都合主義もあるが程よい浪花節と爽快感があってどれも満喫した。特に最初の短編が面白かった。筆者はメガバンクで築地支店長も経験されているが、最後の築地の鮪問屋の話は実体験に基づいているのだろうか。2014/12/24
terukravitz
5
★★★☆☆2014/02/15
藤澤謙光
5
久々の江上作品 苦手な短編も忙しく時には読みやすい。最近は飛行機でもメールが出来るようになって読書の時間が侵されていく…2017/09/10
Walhalla
3
暗い過去を持つ、元総会屋が主人公の短編集です。全5話からなる短編集ですが、どれも共通の主人公「勇次」が正義の味方となって登場します。勉強にもなりましたし、何より勇次がかっこいいです。私は1話目の「復讐総会」が一番印象的でした。2015/09/19