内容説明
若だんな、生まれて初めて旅に出る!相変わらずひ弱で、怪我まで負った若だんなを、両親は箱根へ湯治にやることに。ところが道中、頼りの手代たちとはぐれた上に、宿では侍たちにさらわれて、山では天狗に襲撃される災難続き。しかも箱根の山神の怒りが原因らしい奇妙な地震も頻発し―。若だんなは無事に帰れるの?妖たちも大活躍の「しゃばけ」シリーズ第5弾は、待望の長編です。
著者等紹介
畠中恵[ハタケナカメグミ]
1959(昭和34)年、高知県生れ。名古屋育ち。名古屋造形芸術短期大学卒。漫画家アシスタント、書店員を経て漫画家デビュー。その後、都筑道夫の小説講座に通って作家を目指し、『しゃばけ』で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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kaizen@名古屋de朝活読書会
350
「若だんな」の長崎屋の一太郎。祖母のおぎんは大妖で、仁吉は泊沢、佐助は犬神という妖(あやかし)としての名がある。鳴家(なりや)という妖もいる。話の中で、天狗だの山神だの、お比女という姫神も出てくる。やたらめったら理不尽なことをする訳では無いところに現実味がある。朝顔の話があちこちに出てくるので挿絵があると嬉しいかも。箱根に湯治に来たはずが、最後になるまで湯に浸かれない話。2013/05/29
小梅
175
若だんなが初めて江戸から離れて箱根に!なのになかなか温泉に入れない(^_^;) 今回は頑張った若だんな。しかし若だんなは本当に優しいな〜ほのぼのします。2015/01/11
ゆかり
155
自分にできることからやるという若だんなの姿勢に感銘を受けた。相変わらず体は弱いけれど、冷静さと優しさで、皆を説得しつつ励ましつつ、心は強くなったよ、若だんな!2015/12/30
夜の女王
119
☆☆☆ 今回は長編。箱根へ湯治に行くことになった若旦那。が、磁石より強く若旦那に引っ付いて離れない仁吉と佐助が行方不明!?道中では怪しげな雲助にまとわりつかれ、誘拐され、天狗に襲われ、松之助は怪我、果ては地震に神様まで出没・・・なんとも賑やかな箱根湯治旅です。ご神託を曲解した地元民や藩第一の誘拐犯の身勝手さ、それを命までは取らないお比女ちゃん。優しい。妖怪より人間の方がよほど怖いです。笑いよりちょっとシリアスさの方が勝った巻でした。2013/05/25
のっち♬
117
久々の長編。湯治で箱根に来た一太郎は藩士や姫神たちの思惑に翻弄される。相手が背負った娑婆気を短編にはない濃厚さで描き出し、作風が内省的に傾倒。兄やの離脱が多い分ストーリーは散漫で、豊富なガジェットを用意した割には有機性に欠ける。似た境遇にあって嫉妬、羨望、自己嫌悪を燻らせる姫神と話の通じない天狗たちは、己の無力さを知りつつ手を差し伸べる一太郎と正攻法の対比が貫かれている。おんぶされながらとはあざとい象徴性。厄介でも人心の気まぐれに対峙し続けなければ「己」とは幾ら時間をかけても掴めない。うそうそは現代病だ。2023/07/28