内容説明
造園設計家・恵門は、記憶の中にぽっかりと空白があるのに気付いた。大事な会議で、使い慣れた用語がどうしても思い出せない経験もした。ひょっとしてアルツハイマー病か?医師の判断を仰ごうと決心し、身がすくむほどの不安を感じる。自分は本当に真実が聞きたいのか?もし宣告されたら、この先の人生は?とてつもない恐怖に直面する患者の気持が、読む者の心を打つ衝撃作。
著者等紹介
夏樹静子[ナツキシズコ]
東京生れ。慶応義塾大学英文科卒。在学中からNHKの推理番組の脚本を手掛ける。結婚で一時中断するが、1969(昭和44)年江戸川乱歩賞に『天使が消えていく』で応募、執筆を再開する。繊細な心理描写を用い、社会性に富む題材を扱う。’73年、『蒸発』で日本推理作家協会賞、’89(平成元)年に仏訳『第三の女』でロマン・アバンチュール大賞を受賞
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感想・レビュー
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ケイ
77
読友さんが、「明日の記憶」を読んだ時にこの本のことを思い出したと言って貸してくれた作品。二冊を読みくらべると、書かれた時代があるからか、家族よりもアルツハイマーになった本人の人生の捉えた方に重点が置かれているなという印象。「精神的な余命」という言葉も、見逃せない。この主人公のような選び方もあるだろうが、やはり家族で支えあっていくのが一番望ましいような気がする。こういう時に、その人のそれまでの生き様があわられてくるのだろうか。2015/05/24
にせものばかり
9
若年性アルツハイマーを描いた作品としては、荻原さんの「明日の記憶」とこの作品が有名ですね。自分がもしそうなったら・・と考えさせられました。2014/02/22
かめこ
4
すごく興味深いテーマだったけど、何か残念だった。2021/01/14
fumikaze
4
私達は、誰かの為とか何かの為ではなく、自分自身のために存在していたらいいのではないか。心と身体と仕事と家庭、これ等がバランス良く衰えていけば、死に向かう苦しみが少ない様な気がする。2018/05/07
fumikaze
2
2005.06.11 鬱が続くとボケる。これは気を付けねば。どんな些細な不調でもそれが継続すれば免疫力は落ち疲れが溜まっていく。だから、些細なストレスでも、ちょっとした怪我や炎症でもすぐに対応し、消していくほうがいい、と思った。物忘れの酷い私もアルツハイマーになっているのではないかという不安が増す。◎。