出版社内容情報
夫の暴力から逃れ、失踪した新谷泉。追いつめられ、過去を捨て、全てを失って絶望の中に生きる男と女の、愛と再生を描く傑作長編。
小雨の降りしきる午後、夫の暴力に耐え切れなくなった新谷泉は、家を飛び出した。隠れ場所を捜し、ごくありふれた地方都市に降り立った彼女は、狷介な高齢の女性画家に家政婦として雇われることになる。降り続く雨のなか、時間だけが静かに流れゆく日々を過ごす泉は、思いがけない人物と出会う……。追いつめられ、全てを失った男女の愛と再生の物語。芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
内容説明
小雨の降りしきる午後、夫の暴力に耐え切れなくなった新谷泉は、家を飛び出した。隠れ場所を捜し、ごくありふれた地方都市に降り立った彼女は、狷介な高齢の女性画家に家政婦として雇われることになる。降り続く雨のなか、時間だけが静かに流れゆく日々を過ごす泉は、思いがけない人物と出会う…。追いつめられ、全てを失った男女の愛と再生の物語。芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
著者等紹介
小池真理子[コイケマリコ]
1952(昭和27)年、東京生れ。成蹊大学文学部卒業。’96(平成8)年『恋』で直木賞、’98年『欲望』で島清恋愛文学賞、2006年『虹の彼方』で柴田錬三郎賞、『無花果の森』で’11年度芸術選奨文部科学大臣賞、’13年『沈黙のひと』で吉川英治文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
366
主人公の泉は、小池真理子さんの小説のヒロインとしては随分地味な上に、薄幸な印象のつきまとう女性である。物語の舞台もまた岐阜県大崖市(架空であるが大垣市がモデルと想定される)と、これまたきわめて地味である。ゲイのサクラこそは幾分個性的ではあるものの、それも常識の範囲を越えるものではない。プロットもまた起伏には乏しい。なんだか地味尽くしの小説なのである。結末もそこそこにはドラマティックではあるものの、やや物足りないか。ただ、小説は玄人受けがするようで、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞している。2019/04/25
ふじさん
83
高名な映画監督と結婚した新谷泉は、夫の度重なる暴力に耐え切れなくなり、失踪を決意する。隠れ場所を捜し、ごくありふれた地方都市に降り立った彼女は、狷介な高齢の女性画家に家政婦として雇われることになる。静かな日々を過ごす泉は、偶然に彼女の夫をDVを追っていた記者と再会する。だが、この記者は無実の罪で逃亡中の身であった。先の見えない人生を歩む二人は、恋に落ちた。まさに、奈落の底を見た男女の愛と再生の物語。サスペンス性もあり、老画家の八重子やおかまのサクラの存在もいいし、彼らの生き方や関わり方も読みどころ。2025/09/09
やも
66
逃亡劇に外れなし。オカマ物に外れなし。どちらも兼ね備えた本書は掘り出し物の1冊だ。映画監督でもあるDV夫から逃れるために泉は家出した。そんな時に見つけた住み込みの仕事。雇い主は老女画家の八重子。この八重子のキャラがいいんだよね。友達のオカマのサクラもいい。偶然の再会を果たした男、この男もまたいいんだよね。無花果もナイスアイテム。なんかエロい。粗筋だけ書くと陳腐かもしれないけれど、心理描写もストーリーも自然で夢中で読んだ。湿った空気感が伝わってくる。希望と絶望を繰り返した泉の逃亡劇の終着点は…。見ものです。2025/09/12
鍵ちゃん
52
小雨の降りしきる午後、夫の暴力に耐えきれなくなった新谷泉は、家を飛び出した。隠れ場所を捜し、ごくありふれた地方都市に降り立った彼女は、狷介な高齢の女性画家に家政婦として雇われることになる。降り続く雨の中、時間だけが静かに流れゆく日々を過ごす泉は、思いがけない人物と出会う。今までこの作家さんに作品の中では、一番かもしれない。追い詰められた男女の大人の恋、いいね。今までの過去を精算して一から二人力合わせて幸せになってほしい。そしてさくらさんも。2023/10/14
らむり
52
DVから逃げる女と冤罪から逃げる男の、偶然から始まる恋愛サスペンスです。先が気になって物語に引き込まれましたが、著者近影写真にも引き込まれました^^;2014/07/09