内容説明
犯人逮捕が何度もささやかれながらいつまでも終結しない事件がある。一方で、犯人が逮捕されていながらその背景が全く明らかにされない事件がある。それはなぜなのか。迷宮入りする「住友銀行名古屋支店長射殺事件」「ライブドア『懐刀』怪死事件」、そして、すべてが心の闇に隠された「酒鬼薔薇事件」など、解決されざる大事件の深層に圧倒的取材で斬り込んだ犯罪ノンフィクション集。
目次
住友銀行名古屋支店長射殺事件―連続金融テロを企む闇の連鎖(凄腕;指令;予告;戦慄)
八王子スーパー強盗殺人事件―「女」と「組織」を操った黒幕の誤算(惨劇;工作)
豊田商事会長惨殺事件―奪われた極秘マニュアルの行方(主犯;利権;遺産;白道;伝説;秘伝)
ライブドア「懐刀」怪死事件―稀代の錬金術師を葬った香港人脈と黒い利権(切腹;暗殺)
神戸連続児童殺傷事件―酒鬼薔薇の終わりなきゲーム(寛解;作品;墓穴;快感;虐待;実験;分身;幻想)
著者等紹介
一橋文哉[イチハシフミヤ]
1995(平成7)年、月刊誌「新潮45」での連載「ドキュメント『かい人21面相』の正体」(雑誌ジャーナリズム賞受賞)でデビュー。’96年にグリコ・森永事件の真相を追った『闇に消えた怪人』を出版後、宮崎勤、オウム真理教、三億円強奪事件などをテーマにしたノンフィクション作品を次々と発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yoshida
89
五つの事件のノンフィクション。隙間時間に少しずつ読む。圧倒的に神戸連続児童殺傷事件が気分が悪い。少年A逮捕後は特に関心はなかった。捜査資料や供述調書、医療少年院での様子を改めて読む。端的に言えば少年Aは快楽殺人者であり、極めて異常なのだ。寛解の状態で世間に戻された。残念ながら、この異常さは更生されない。「絶歌」の出版や、HPのタイトルも不愉快。批判を覚悟で言えば、このような異常者は世間に戻してはいけない。本書の記述を見る限り少年Aは罪を悔いていない。更に言えば異常なまま。少年Aが再犯しないことを祈るのみ。2022/07/10
美登利
63
知っているようで、詳細を知らなかった事件ばかりでしたが、闇の世界と、政治的な絡みがあったとは。八王子スーパーの事件の発端となったのは、本当に被害者の女性なのか?とか、色々ここまで取材してあっても、やはり未解決なのは、裏工作があってのことなのか。途中う疲れて斜め読みしました。事件現場での内容がグロいです。前にサカキバラ事件での、母親の手記を読んだことがあるので、全くイメージが正反対でしたが、それは母親が自分のイメージを良くするために書いたものだろうなとこの本を読んで初めて感じたところです。2014/08/07
団塊シニア
46
丹念な取材の積み重ねと事件の重みを感じる内容である、しかしこれだけの証拠がありながら、なぜ終結しないのだろう…。2013/11/25
カラシニコフ
22
八王子スーパーことナンペイ事件はマヂヤバい。これを読みたいがために他も読んだ、みたいな。ライブドアといい豊田商事といい、暗躍するフィクサー多すぎやろ。酒鬼薔薇は手記が出てるからそっちも読もうかな。 ★★★☆☆2016/02/14
きっちゃん
22
未解決事件5件の内、「神戸連続児童殺傷事件(酒鬼薔薇聖斗)」以外はすべて暴力団と政財界が絡んでいる。「豊田商事」事件で登場した政治家たちはイニシャルで表記してるもののほぼ実名。 神戸の事件は家庭環境、特に母親の影響は大きい。普通の子供が育て方一つで怪物になってしまう。医療少年院で更生プログラムに基づき矯正教育を施されたがたったの6年で彼は人間に戻れたのだろうか? 2014/09/01