内容説明
太平洋戦争の開戦時と終戦時という難局に外相を務め、終始一貫、戦争回避・和平を主張し続けた東郷茂徳。その業績にもかかわらず、戦犯として獄中でひそかに息を引き取り、以後、殆ど人々に顧みられることはなかった。時流に流されない冷静な判断とそれを貫く勇気―この人がいなければ、戦後のすみやかな復興も望めなかった、という熱い思いを込めて、埋もれた人物像を掘り起こす。
目次
序章 共同墓地の巨人
第1章 同盟前夜
第2章 孤影
第3章 火祭
第4章 モスクワ
第5章 戦争
第6章 敗戦
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
駄目男
5
最も困難な役割を担った外相だったと言えよう。開戦内閣、終戦内閣と国の命運を左右する重大局面での外相就任だっただけに、その後半生の人生には非常な興味がある。しかし、一般的にあまり知名度がないのが残念。ロシアのヴィッテ相手に交渉をした小村寿太郎、軍部から軟弱外交と謗られた幣原喜重郎も大変だったらろうが、日米開戦だけは是が非でも避けようと努力した東條内閣の外相として、また国家滅亡の危機に際し、ポツダム宣言受諾に奔走した鈴木内閣の外相として軍部と命懸けで渡り合った東郷茂徳という人を日本人は忘れてはならない。 2017/06/11
讃壽鐵朗
5
伝記的な要素もさることながら、太平洋戦争勃発から終戦までを知るには最適な本として推奨できる。しかも変な歴史書よりも小説的だから読みやすい。丁度八月の終戦記念に読まれるべき本である。2015/07/31
ぼび
0
5/52018/05/13