新潮文庫
秘花〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 397p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101405193
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

四年前に亡くなった知子の母ゆいは、孫の水絵に遺言めいたノートを託していた。そこに綴られていたのは、哀しくも強かな女の性。十四歳で男を知り、不義の子を宿し、名古屋の遊廓で体を売って生きてきたゆい。知子は母の淫靡な過去に心乱れ、自分の出生の秘密に慄くが、水絵はゆいのように子供を産んで育てたいと言う―母娘孫、女三代の心の襞を緻密に描いた号泣必至の傑作長編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あすなろ

74
中村遊郭。そして、名古屋と札幌がこんなに似てるってねえ。と終わる。渦巻く過去を連続連写し描写した伏線。連城氏末期に近い作品なのだが、どっぷり浸かりました。昭和33年3月31日前後の世界に。なお、下巻が壮絶過ぎて上巻の内容を忘れるぐらいだったという作品も珍しいと思う。下巻だけで1つの作品が恰も成立しているかのようである。2018/06/17

アッシュ姉

61
亡くなった母が遺したノートには、知られざる波乱万丈の人生が綴られていた。訳あって十四歳で家を飛び出し、名古屋の遊郭へ。縁あって生まれ故郷の北海道へ戻り、そして東京へ。母の軌跡を辿る家族に深く影響を及ぼしていく。遊郭を書くことが宿題だったという連城さん。上巻からさらに熱を帯びた下巻の遊郭時代は読み応えがあった。逆境に負けない凛とした強さを持つ女性の生き様に清々しさを感じる一方、流されてばかりの男性との対比が印象的。終盤のホームでの電話のシーンには涙がこぼれた。2019/01/11

🐾ドライ🐾

9
下巻は祖母ゆいの人生を、なかでも14~5歳という年齢で遊廓に入る頃を中心に彼女の生き方を見つめることになる。妊娠した孫娘水絵が同じ年齢という設定で、2人を重ね合わせるという工夫がなされたようだが「うまくいっている」とは言い難い。しかし、ひとりの女性の人生の一時期を切り取り、読み物として創り上げたところや、物語の締めくくりとして、おそらく生きて帰れないであろう『初年兵』との関係が抱擁だけであるにもかかわらず、彼女に気概を持たせるあたりは絶巧だと思う。2019/07/14

CCC

3
分かりやすく上品な通俗小説という印象が強い。2013/06/05

浅木原

2
連城三紀彦の大衆小説系の長編って、話の出だしを牽引する問題が途中でどっか行っちゃう傾向がある気がするけど、これもそういう話。上巻は娘の奇妙な言動と、夫と死んだ母の関係についての疑惑に妻が翻弄される話だったのに、下巻は母の遊廓時代の話が延々続いて現代の話は完全に置き去り。女三代の話として書くなら遊廓編は長すぎだし、遊廓小説として書くなら最初からそうすれば…。そもそも既に母は死んでいて残されたのは手記だけなのに、手記そのものではない遊廓編はいったい誰が語っているのか? 上巻面白かっただけになんだかなあ。2014/07/29

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