出版社内容情報
指物師の職人の家に後添いとして入ったおしなだったが、なつかぬ継子と姑の苛烈な虐めに、耐えきれず家を出た。二年後、ばったり、夫に出遭ってしまう(「蝋梅」)。こ っそり組織的に藩士に内職をさせていた貧乏藩。足軽勘七の透かし彫の柘植櫛が大店の跡取り娘の手に渡り、娘は「この職人に会いたい」と言い出した(「恋の櫛」)。江戸の各所で職人の技と意地と優しさが交差する。心温まる傑作四編。
藤原 緋沙子[フジワラ ヒサコ]
著・文・その他
内容説明
指物師の職人の家に後添いとして入ったおしなだったが、なつかぬ継子と姑の苛烈な虐めに、耐えきれず家を出た。二年後、ばったり、夫に出遭ってしまう(「蝋梅」)。こっそり組織的に藩士に内職をさせていた貧乏藩。足軽勘七の透かし彫の柘植櫛が大店の跡取り娘の手に渡り、娘は「この職人に会いたい」と言い出した(「恋の櫛」)。江戸の各所で職人の技と意地と優しさが交差する。心温まる傑作四編。
著者等紹介
藤原緋沙子[フジワラヒサコ]
高知県生れ。立命館大学文学部卒。人情時代小説の名手として、リアリティあふれる物語空間の創出、意外性に満ちたストーリー、魅力的な人物造形などが高く評価される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やま
87
人情江戸彩時記4作目 2018.09発行。蠟梅、木いちご、藪椿、恋の櫛の4話。 全ての物語がもの作りの職人の話しです。 第1話の「蠟梅」は、奥さんが袋物づくり。 第2話の「木いちご」は、幼馴染が鼈甲細工。 第3話の「藪椿」は、亭主が漆器の塗師。 第4話の「恋の櫛」は、小大名の足軽が柘植細工の櫛と、4話すべてが、もの作りの職人のお金にまつわる悲哀の話しです。だが、最後は、全て上手くまとめています。 さすがは藤原緋沙子さんの作品だけ有って、読み応えのある作品に出来ています。2019/08/24
toshi
17
江戸人情噺が4作からなる短編集。 「蝋梅」 後妻に入った家で姑にいじめられて飛び出して一人で生きていたおしな。 男に騙され、色々有ったものの結局は元のさやに納まるという良くあるパターンの話だけれど、構成やストーリ展開が上手くできていて一気読み。 ただ、最後の展開がお手軽過ぎて、ちょっと薄っぺらい印象。 タイトルは、庭の蝋梅の咲くところを見たい・・・。 (→続く)2018/11/04
たーくん
6
指物師の職人の家に後添いとして入ったおしなだったが、なつかぬ継子と姑の苛烈な虐めに、耐えきれず家を出た。二年後、ばったり、夫に出遭ってしまう(「蝋梅」)。こっそり組織的に藩士に内職をさせていた貧乏藩。足軽勘七の透かし彫の柘植櫛が大店の跡取り娘の手に渡り、娘は「この職人に会いたい」と言い出した(「恋の櫛」)。江戸の各所で職人の技と意地と優しさが交差する。心温まる傑作四編。 2020/05/13
ひさか
5
小説新潮2011年10月号蠟梅(冬椿を改題)、2017年7月号:木いちご、2018年1月号:藪椿、に描き下ろし:恋の櫛、を加えて2018年10月に新潮文庫から刊行。文庫オリジナル。人情江戸彩時記シリーズ4作目。ひとくくりにできないお話いずれにも余韻が残ります。2019/03/15
りえぞう
2
〇。最後の、藩の窮乏を救うため、侍も百姓も一丸となって内職に精を出す話がおもしろかった。ちょっと最後は都合の良い終わり方に思えてしまったけれども。2025/04/20