出版社内容情報
兄の友人の結婚式に招かれた薫くんを待っていた、次なる“闘い”とは――。青年の葛藤と試練、人生の哀切を描く、不朽の名作。
危機一髪というと必ず救いに現れる「快傑黒頭巾」はもういないのか……。東大医学部紛争のさなか、医者の卵の結婚式に突然招かれた薫くんは、異様な雰囲気に驚き、先立つ男たちの「人生の兵学校」の複雑さを知る。夢はあえなく破れるからこそ夢なのか……。激動する時代を背景に、理想と現実のはざまで葛藤する若者たちを描き、人生の哀切を超えた真理に迫る現代青春小説の最高傑作。
内容説明
危機一髪というと必ず救いに現れる「快傑黒頭巾」はもういないのか…東大医学部紛争のさなか、医者の卵の結婚式に突然招かれた薫くんは、異様な雰囲気に驚き、先立つ男たちの「人生の兵学校」の複雑さを知る夢はあえなく破れるからこそ夢なのか…。激動する時代を背景に、理想と現実のはざまで葛藤する若者たちを描き、人生の哀切を超えた真理に迫る現代青春小説の最高傑作。「薫くん四部作」第三弾。「あわや半世紀のあとがき3」収録。
著者等紹介
庄司薫[ショウジカオル]
1937(昭和12)年東京生れ。日比谷高校を経て、東京大学法学部卒。’58年、『喪失』(本名の福田章二で執筆)により中央公論新人賞受賞。’69年『赤頭巾ちゃん気をつけて』で芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ステビア
22
とにかく色々なモチーフが詰め込まれていて凄く濃密なんだ。世界が無数の顔も知らない人々の営みによって回っていることへの愛と無知な自分への恥、あとはやっぱり若者たちの挫折ってことだよね。軽いトーンに比べて、かなり悲壮感溢れる内容。2015/04/03
ステビア
20
『赤』と『黒』はポジとネガなのかもしれないなぁ。『白』は生と死がテーマで少し浮いてる。『青』は『黒』の変奏曲。どうだろう?書評なんかも読んでみてもう少し考えてみよう。深いゼ、庄司薫。2014/04/01
おおにし
18
この本最初に読んだの四半世紀以上前のこと。当時さえない高校生だった私には薫くんのような都会のエリート学生がとてもまぶしかったです。大学紛争を知らない私が挫折した全共闘世代の姿を知ったのもこの本です。今回再読して薫くんは自分のお兄さんたちの全共闘世代に対してとても優しい眼差しで見ていたのだなあと感じました。1969年という日本のひとつの転換期における若者たちの記録としても、読み継がれるべき作品ではないでしょうか。ちょっと褒めすぎかな。2012/07/08
ケイコ
15
生きた時代も性別も違うけれど、青春との決別をした薫くんの兄たちの姿と、薫くんの思いに泣きたいほど切なくなりつつも、それもまた青春ではないか、と少しため息が出た。私が怪傑黒頭巾とさよならしたのはいつのころだっただろう。今は薫くんと一緒に牛乳屋を待ち、届いた牛乳を兄たちに配りたい気持ち。大好きな薫くんシリーズもあと一冊。大切に読みたい。2014/08/07
ソングライン
13
人間の善意を信じ、不条理な死と向き合い、東大紛争のため大学入試を諦めた薫君がゴールデンウィ-クの最中、兄の友人山中さんの結婚式に出席する1日が描かれます。東大医学部の紛争に関わるも大病院の娘と結婚するという変遷、それを諦念の感で見守る兄の友人たち、腹の探り合いのような異様な結婚式に憤る薫君と花嫁の妹とその友達は日比谷高校、山王神社、ヒルトンホテル、ニュートーキョーと都心を巡り語り合います。青春が終わることの不安と切なさを描く薫君シリーズの3作目、虚無に立ち向かう薫君が健気なのです。2025/01/22