出版社内容情報
名作には、こんなにも尽きせぬ謎があったとは! ホームズの相棒ワトソンの“知られざるミドルネーム”、ある“覆面作家”のペンネームに隠された驚きの秘密、芥川龍之介が掌編小説「カルメン」で事実と異なる光景を書いた理由……そして三島由紀夫から坂口安吾、山田風太郎へ。謎が謎を呼び、解決したかと思ったら再び本の迷宮に。ミステリーと本を愛する著者による、とっておきの「私小説」。
内容説明
名作には、こんなにも尽きせぬ謎があったとは!ホームズの相棒ワトソンの知られざるミドルネーム。ある“覆面作家”のペンネームに隠されていた驚きの秘密。芥川龍之介が掌編小説「カルメン」で偽りの光景を書いた理由。そして三島由紀夫から坂口安吾、山田風太郎へ―。謎が謎を呼び、解決したかと思ったら再び本の迷宮へ。ミステリーと本を愛する著者による、とっておきの「私小説」。
著者等紹介
北村薫[キタムラカオル]
1949(昭和24)年埼玉県生れ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。高校で教鞭を執りながら執筆を開始し、’89(平成元)年『空飛ぶ馬』でデビュー。’91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞、2006年『ニッポン硬貨の謎』で本格ミステリ大賞、’09年『鷺と雪』で直木賞、’16年日本ミステリー文学大賞受賞。アンソロジーや『本と幸せ』などのエッセイ、評論に腕をふるう“本の達人”としても知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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rico
84
縦横無尽、快刀乱麻。博識で好奇心旺盛で書物をこよなく愛する北村さんが、かすかな違和感を手掛かりに書物の深い森に分け入り、隠されていた真実を見出すその喜びを思うがままに綴る、極上のミステリー、です。多分…。正直、私にはちょっと厳しかったけど、それでも、翻訳されたお芝居の謎のセリフの正体とか、最終章で福永武彦が登場したと思ったら、池澤夏樹さんがしれっと解説書いてたりとか、ツボにはまってクスリする瞬間も。知識をお持ちの方なら、きっと北村さんと一緒に、もっとワクワクドキドキできるのでしょうね。羨ましいです。2024/01/24
阿部義彦
26
本の虫北村薫さんによる、実録私物語探求推理小説、表紙には副題として、『謎解き私小説』と有ります。今回の主人公は作者自身です。勿論全てが本当にあった事なのか、何がしかの脚色かが為されているのは、作者のみぞ知るですが、薫さん自身が些細な事から疑問を持った事柄と日常が複雑に絡み合い、時には縁やシンクロニシティーの作用で、思わぬ解決に至るミステリーです。夢中で読みました。『文字とは不思議な楽譜だ。』等の名言がゴロゴロ。新潮社の敏腕編集長のサポートも素晴らしい。発想の飛躍には唸らされます。本の縁、人の縁、名作の謎。2023/02/25
マッちゃま
24
先日、知り合って日の浅い方に「僕、活字人間なんですよ。国内の本格ミステリの有名どころ けっこう読みました」なんて偉そうに語ってしまったけど、北村先生の前では決して同じ台詞は言えない…博覧強記、なんて言葉が陳腐に思えてくる様な、本来なら知ってるだけで凄い内容の中から更に謎を見つけ解き明かす。なんだろう、もう読むしかない内容(苦笑)ただただ読みました。へっ?と思った謎には信じられない深い意味があったり無かったり(笑)小難しい事を小難しく感じさせない文章も氏の魅力かと思いました。作家さんって改めて 凄いねえ〜♪2023/02/25
hnzwd
21
日常の謎とも言えないようなふとした疑問が、文学知識に裏打ちされた思索からどんどん展開されていくのが楽しい。物語を作る際の調査過程を垣間見ることができた気になる一冊。2024/03/03
あきあかね
19
小説の中のちょっとした不思議に気づき、丹念な調査によって謎解きをする。円紫さんシリーズや中野のお父さんシリーズと似ているが、そうしたフィクションとは違って、本書は私小説のスタイルになっている。 イプセンの『人形の家』でのノラの「何ひと」という奇妙な台詞の謎解きは、時代時代で移ろいゆく言葉の変転を感じさせる。また先日、久しぶりに東京に雪が舞った日にちょうど読んでいたからか、雪をテーマにした話が印象に残った。「雪の日やあれも人の子樽拾い」という江戸時代の句を巡る謎を解き明かす過程が興味深い。⇒2023/02/12