内容説明
五・七・五・七・七の三十一文字で、美しくも壮大な世界を綴り出す短歌。向かい合い、背を向け、あるときは遠く離れながらも響き合う二つの短歌の断ち切り難い言葉の糸を独自の審美眼で結び合わせた50組100首に、塚本邦雄・石川美南から三井ゆき・佐佐木幸綱まで、総数550首を収録。現代短歌の魅力を味わい尽くす、前代未聞のスリリングな随想。
目次
隣の赤―塚本邦雄・石川美南
季節の色―若山牧水・秋谷まゆみ
皀莢とすずらん―梅津ふみ子・篠弘
ついにつげえず―小川太郎・藤井常世
白い安息―雨宮雅子・田谷鋭
窓のうち外―穂村弘・松平盟子
夢の男と、女―道浦母都子・吉川宏志
牛の声―北原白秋・前川佐美雄
少女のねむり―藤原龍一郎・桑原正紀
近江 あふみ―河野裕子・永田和宏〔ほか〕
著者等紹介
北村薫[キタムラカオル]
1949(昭和24)年埼玉県生れ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。高校で教鞭を執りながら執筆を開始。’89(平成元)年『空飛ぶ馬』でデビュー。’91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞受賞。2006年『ニッポン硬貨の謎』で本格ミステリ大賞“評論・研究部門”を受賞。’09年『鷺と雪』で直木賞受賞。’16年日本ミステリー文学大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
74
素晴らしい。短歌に興味のある方は、是非読むべきだ。私が短歌に対して感じていたあれこれは、巻末の三浦しをんさんの解説がすべて代弁してくださっている。宝石のような世界を封じ込めたものこそ、短歌。2019/09/28
yumiha
37
「白鳥の羽咋の音もはりはりと雪の小骨を嚙みつつあらむ」(安永蕗子)を見つけ狂喜乱舞。「行方不明のこねこ探せば一斉にここぢゃここぢゃと呼ぶねこじゃらし」(沢桃子)も好きだ。というふうに私の喜ぶ短歌を紹介してくれている。また、それぞれの短歌にまつわるエピソードもめっぽう面白い。たとえば川端康成宅に忍び込んだ泥棒の「だめですか」、吉川英治の母の臨終記などなど。そして藤原龍一郎と穂村弘との鼎談の様子も興味深い。そのうえ解説が三浦しをんなのだ(^_^)読み直す本しか買わない主義の私を、必要緊急ぢゃと本屋へ走らせた。2020/04/13
タカギ
30
すごい情報量だった。タイトルにある「うた合わせ」とは、2首の短歌を並べて、不思議に響き合うそれらをまとめて観賞しようということだと、かなり後半になってから気づいた。私、1冊の歌集も読んだことないし、歌人の名前も出てこないけど、そんな知識皆無の人でも大変に面白い本です。歌人2人と北村氏の対談も、三浦しをん氏による解説もとても良い。それにしても、「この句にはこれを並べたい」「そういえばこういう句も浮かぶ」と次々出てくる北村氏の脳内データベースは一体どうなっているのか…。2021/06/14
naotan
15
本編も対談も解説も素晴らしい。側において何度も読み直したくなる本です。 三浦しをんさんが電車の中で落涙したというページ、私は多分喫茶店で読んでいて、ヤバイと思って栞をはさんで読み飛ばしました。2019/11/30
かながわ
9
凄い凄い。圧倒知識&描く力から立ち上る人生風景沁み入る。カルピス作ってくれる読みが新鮮。ひとひらの雲読みは白眉、つむじ風読みは元気くれる。あぁ読書の喜び、北村さんは好きな作家だぁ。2021/04/15