内容説明
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して―なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?いったい彼女は何者なのか?謎を解く鍵は、カード会社の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
1696
エンディングは何とも哀れだ。これほどに静かな悲しみのうちに収束するミステリーも珍しい。我々読者は、物語の冒頭から一貫して俊介とともに彰子の行方を追うのだが、しだいに明らかになってゆくその過程は驚きよりも、非難よりも、ひたすらに哀しみの色を加えてゆく。戸籍の着想は、あるいは松本清張の『砂の器』から得たものか。あの作品もまた、生きてあることの哀しみを描き出していた。刑事が地道に追ってゆき、ついに真相にいたるという経緯も似た手法だ。一方、休職中の刑事を主人公に選ぶのは、佐々木譲が『廃墟に乞う』で踏襲している。2015/01/26
zero1
1109
私が選ぶ宮部の代表作はこれだ。古い作品だが、今でも通用する。休職中の刑事がある女性を追う。彼女の背景には、破産という社会問題が潜んでいた。何度読んでも面白い。というか恐ろしい。この世で何が怖いかといえば、それは人間の奥にある闇ではないか。本書は、それを表現できている。しかし人は悪魔ばかりではない。後半に登場するタモっちゃんは善人。宮部作品には、こうした救いがある。だから読んだ後、読者は絶望しない。結末には賛否あるが、私は支持する。以前の宮部は荒削りでも読ませるパワーがあった。宮部よ、昔に帰れ。2018/10/17
ちょこまーぶる
1103
やっぱり宮部作品ははずれが無い。刑事が休職中であるが上に自由に捜査していて、非常に面白い。内容としては、ある人物が殺人を犯しその人物に成りすまして別人として生活を続けていくという、どこかでもお目にかかった内容ではあるが、登場人物と刑事の駆け引きと犯人の心理を解き明かしていく過程がワクワクした思いで読み進めることができた。で、最後に気になることが、元々婚約者探しを依頼した遠縁の男性は、心がキレた後一切登場しなかったんだけど、その後どうなっちゃったんだろうか?2013/05/11
ehirano1
961
二転三転する展開にもう目が離せませんでした。一方で、本作はキャラ立ちではなく、エピソード立ちが印象的で、社会構造としての「悪」を描いた話だったのではないかと思いました。そのせいか、特定の主人公がいない群像劇だったのは筋が通っているなぁと感服した次第です。2024/08/04
遥かなる想い
938
「宝島ミステリー」過去10年読者が選ぶベスト10で1位というので、文庫本ではなく単行本を購入して読んだ。カード地獄・多重債務苦しむ人々を描いており、現代的な問題に踏み込んだミステリーにはなっている。「宮部みゆき」が描こうとしているのは、謎解きなのか、 犯罪を犯す人間なのか…文のタッチとしては、そう重くはないが、そこでもがく人々は現代的に暗く重い。2004/01/01