内容説明
約束は交わさない。別れは引きずらない。大事なのは、自分に課せられた任務を遂行すること。正体を隠しながら送る生活の中、出会う特別な仲間たち。天文部での活動を隠れ蓑に、今日も彼らは夜を駆ける。ゆるい部活、ぬるい顧問、クールな関係。ただ、手に持ったコーヒーだけが熱く、濃い。未来というミッションを胸に、戦場で戦うスパイたちの活躍を描く。オフビートな青春小説。
著者等紹介
坂木司[サカキツカサ]
1969(昭和44)年生れ。覆面作家。2002(平成14)年、『青空の卵』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイ@2019.11.2~一時休止
221
連作短編集。天文部の四人のスパイ?の青春モノミステリー。日本蜜蜂のハチミツ食べてみたいなぁ。2015/04/14
SJW
212
家庭に馴染めない高校生が、戦場で生き抜くスパイになったつもりで日常生活において戦う物語。誰とも心を許せない4人が見つけた居心地の良い場所はゆるい部活の天文部。観測と称して学校で夜に料理して食事を楽しみんだり、日常ミステリーの謎解きをしながら絆を深めながら成長していく4人。家庭や学校に馴染めないという設定は共感できなかったが、部活で天体観測をしたり飯盒で飯を炊いたりしたのは同じ経験があるのでとても共感し懐かしく感じた。ただこんなゆるい部活では勿体ない。自分の場合は文化祭に向けて天体写真を(続く)2018/08/14
佐々陽太朗(K.Tsubota)
184
ゲージ君、君はアケルダマ卿の生まれ変わりかね?(何のことか分からない人は「英国パラソル奇譚シリーズ」を読むべし) <ゲージ>「そりゃないよ、ハニー」、<ジョー>「私は蜂蜜じゃないし、あなたの恋人でもない」――なんて面倒くせぇやりとりなんだ? でも、慣れるとちょっといいねと思えるから不思議だね。天文部の4人のスパイ、ブッチ(黄川田祐一)、ギィ(安田朱美)、ゲージ(青山孝志)、ジョー(中島翠)、君たちはすてきな仲間だ。こんな仲間に出会えるなら、私はもう一度高校生に戻りたいよ。たとえ苦しい受験勉強があってもね。2013/02/03
Kazuko Ohta
145
徒党を組まない高校生の男女4人が、人間関係に煩わされずに済みそうだと入部したのが天文部。著者お得意、日常の中の謎解きを含む青春ものですが、本作での謎解きはわりにどうでもいいこと。それよりも、謎に直面したときの4人それぞれの受け止め方と言動に心を打たれます。男子2人の喋り口調が独特なので、これを受け付けられないという人にはたぶん厳しい。だけど、この話には乗らなきゃ損。自分も仲間のひとりになった気持ちで臨むべし。時に「くだらなさ」は地球を救う。「当たり前」をスペシャルと思える人間であり続けたいと思うのでした。2017/10/31
ゆんこ姐さん@文豪かぶれなう
127
積ん読に貯めていて何と無く読んでいなかったのをやっと手にとった。 ジョー、ゲージ、ギィ、ブッチの四人の天文部の学生が織りなす、ゆるーい青春小説。それぞれの一人称での短編集だ。優しくてどこかほっこりする、たまにはほのかな恋心も出てくるストーリィに、ちょこっとミステリィテイストが入っている。また各話に登場するスイーツや食事もとても美味しそうで涎が出る。坂木司の得意とするテイストが散りばめられている甘酸っぱい小説。皆、スパイとして何かと戦って行きている。勿論私もそうなんだろう。読後は幸せな気分になった。2014/03/23