出版社内容情報
2021年4月、私は突然膵臓がんと診断された。治療法はなく、進行を遅らせる抗がん剤をやめて、緩和ケアに進むことを決めた――。まるで夫とふたりで無人島に流されてしまったかのような、コロナ禍での闘病の日々を、作家は日記として書き残した。痛みや発熱の苦しみ、これまでの人生、夫への感謝と心配、「書きたい」という尽きせぬ思い……。58歳で急逝した著者からの、ラストメッセージ。
内容説明
2021年4月、私は突然膵臓がんと診断された。治療法はなく、進行を遅らせる抗がん剤をやめて、緩和ケアに進むことを決めた―。まるで夫とふたりで無人島に流されてしまったかのような、コロナ禍での闘病の日々を、作家は日記として書き残した。痛みや発熱の苦しみ、これまでの人生、夫への感謝と心配、「書きたい」という尽きせぬ思い…。58歳で急逝した著者からの、ラストメッセージ。
目次
第1章 5月24日~6月21日
第2章 6月28日~8月26日
第3章 9月2日~9月21日
第4章 9月27日~
著者等紹介
山本文緒[ヤマモトフミオ]
1962‐2021。神奈川県生れ。OL生活を経て作家デビュー。1999(平成11)年『恋愛中毒』で吉川英治文学新人賞、2001年『プラナリア』で直木賞、’21(令和3)年、『自転しながら公転する』で島清恋愛文学賞、中央公論文芸賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆいまある
92
唐突に購入して一気に読んだ。最近、自分にも何が起きるか分からないと思うことがあった。ステージ4bの膵臓癌は他の臓器に転移があり、手術は出来ない。夫と過ごせる余命は120日。文緒さんは早々に緩和ケアに切り替える。末期癌は苦しい。日記を書く所ではない。だが「うまく死ねますように」と、前向きな言葉を綴り、朦朧としながらも、最後まで読み手のことを考え、呪いの言葉は吐かない。全ての今から死ぬ人に「怖くないですよ」と伝えるかのように。文緒さんはもういない。でも文緒さんの言葉は永遠に残る。作家の勇気を称えたい。2025/08/19
セシルの夕陽
65
絶対に読む!と思ってたのに、ページを開き出すのに覚悟が必要だった。突然、膵臓がんステージ4bと宣告された著者。延命の抗がん剤を1回受けたが辛すぎて止め、緩和ケアを選択する。「闘病記」ならぬ「逃病記」として、コロナ禍の日々を綴ってあった。長年の「書かなくちゃ」強迫観念から解放されると思っていたが「書きたい」という思いが残っていたし、その気持ちに助けられたと。夫への愛と感謝に満ち溢れ、「つらい話をここまで読んで下さり、ありがとうございました」「明日また書けたら、明日」。。。構想してた新刊が読めず無念。2025/03/15
ネギっ子gen
61
【昔と違って副作用は軽くなったと聞いて臨んだ抗がん治療は、地獄だった――】突然、膵臓がんと診断され、ステージは4b。最期まで書くことを手放さなかった作家の闘病記。<私の人生は充実したいい人生だった。58歳没はちょっと早いけど、短い生涯だったというわけではない。私の体力や生まれ持った能力のことを考えたら、ものすごくよくやったほうだと思う/だから今は安らかな気持ちだ……、余命を宣告されたら、そういう気持ちになるのかと思っていたが、それは違った/そんな簡単に割り切れるかボケ!と神様に言いたい気持ちがする>と。⇒2024/11/09
piro
43
突然宣告された膵臓癌、余命120日という衝撃。そんな中書き記された山本さんの日記は、過度に煽る様な悲壮感は無く、かと言って達観しているわけでもなく、ありのままの最後の生活が真摯に綴られている様に感じました。「終わりを目前にしても「書きたい」という気持ちが残っていて、それに助けられるとは思ってもいなかった。」プロの作家らしい思いに感動。コロナ禍で、世の中からポツンと切り離された無人島の様な軽井沢のご自宅での闘病の日々、それを支えるご主人の献身的な姿に目頭が熱くなりました。2024/10/09
カブ
41
膵臓癌ステージ4、余命宣告。その時の心境など想像できないが、その日からの日記が書けますか?作家の性なのかみごとに書き綴った山本文緒氏。色々なことを想像して涙しながら読みました。それでも読んでよかった。自分の残り時間、大切に生きようと思った。2024/10/30