出版社内容情報
掏摸に騙りに美人局。住人が全員悪党の「善人長屋」に紛れ込んだ本当の善人・加助が、またしても厄介事を持ち込んだ。そのとばっちりで差配母娘は盗人一味の人質に。長屋の面々が裏稼業の技を尽して救出に動く中、母は娘に大きな秘密を明かす。若かりし頃、自らの驕り高ぶった態度が招いた大きな罰のことを──。流れゆく大川が静かに見つめた、縺れた家族の行方を丹念に描く人情時代小説。
西條 奈加[サイジョウ ナカ]
著・文・その他
内容説明
掏摸に騙りに美人局。住人が全員悪党の「善人長屋」に紛れ込んだ本当の善人・加助が、またしても厄介事を持ち込んだ。そのとばっちりで差配母娘は盗人一味の人質に。長屋の面々が裏稼業の技を尽して救出に動く中、母は娘に大きな秘密を明かす。若かりし頃、自らの驕り高ぶった態度が招いた大きな罰のことを―。流れゆく大川が静かに見つめた、縺れた家族の行方を丹念に描く人情時代小説。
著者等紹介
西條奈加[サイジョウナカ]
1964(昭和39)年北海道生れ。都内英語専門学校卒業。2005(平成17)年、『金春屋ゴメス』で「日本ファンタジーノベル大賞」大賞を受賞。’12年『涅槃の雪』で中山義秀文学賞、’15年『まるまるの毬』で吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
119
シリーズ3の一冊。これまでで一番好きかも。というのも、いつも以上に鼻の奥がツンとくる人情が溢れていたから。一日一善じゃ足りない一日三善の加助さんがどんどん一人一人を、善人長屋全体を温めていくこの描き方が芯まで沁みる。そして読み手の心に響く言葉は数えきれないぐらい。じぃんときたな。中でもお縫一家、お縫の母の秘められた過去がいい。驕り高ぶった末の痛みという経験で愛を知り、娘に繋ぐ教えの愛のリレーに涙。そして儀右衛門の姿がまた最高。人としての器の大きさ、愛の深さがキラリ。次なるキラリ輝くのは誰か、次巻が楽しみ。2025/02/05
ふじさん
102
善人長屋の続編。今回も千鳥屋に関わる様々な家族の生き様を描いた作品。特に今回は、千鳥屋の儀右衛門一家に関わる題材が多く、「泥つき大根」では息子倫太郎の義母の恋の顛末が、「雁金貸し」では娘のお佳代と儀右衛門夫婦との確執や軋轢の訳が、「鴛鴦の櫛」「大川契り」では妻のお俊の若かりし頃のやんちゃぶりや儀右衛門との出会いや結婚に至る経緯が丁寧に描かれており、まさに千鳥屋一家の家族物語になっている。それぞれの登場人物の個性が際立っていて読み応えがあった。 2021/04/06
ぶち
101
シリーズ3作目です。お縫ちゃんの実の姉さんや兄さんも登場し、さらに両親(儀右衛門とお俊)の馴れ初めも読めて、ますますこの善人長屋に愛着が増していきます。両親の馴れ初めの経緯はたいへんに切なく、それを聞かされたお縫ちゃんも大人へと一歩近づいたのかな。それにしても加助の善人ぶりは度を越してきたようです。もはや、面倒事製造機のようです。本文中にあった"正義の鎌を振り回して、あとには草も生えない"は、加助に進呈したいくらいです。お縫ちゃんの恋の行方やお佳代姉さんと両親との和解など、まだまだ続きが読みたいです。2022/09/03
タイ子
96
2016年以来の再読。今回<善人長屋>の続編が久しぶりに出ると言うのでその前に復習をと思い再読してみた。やはり、西條さんの描く江戸情緒と人情噺はいいですね。久しぶりに読んで良かった、殆ど忘れていたので新鮮このうえない。善人長屋と呼ばれる千七長屋、ここの住人は長屋の名前とうらはらにみんなが裏の顔を持っている。1人を除いて。質屋を営む両親と住むお縫が主人公。この質屋も実は裏の顔があって…という全てが面白い設定。お縫の両親のなれそめ話が涙が出るほどいい。こんなにいい作品だったんだと改めて思う。続編が楽しみ!2025/01/08
はにこ
91
今回も加助が持ち込むやっかいごとに翻弄される善人長屋。加助のせいで店には強盗が入るし、人質にはなるしでお縫も大変だったねぇ。お俊の若い頃の話で苦労が偲ばれた。強くなるには色んな苦労を経ているのかもしれないね。文吉とお縫、二人も良い年なんだからそろそろ自分の気持ちに気がつかないとね。2020/09/29