内容説明
天文台の赤道儀室で「幽霊」を見たと言う早川美沙子と、ぼくら級友は夜の雑木林へ出かけた。だが「幽霊」は現れなかった。彼女は目立ちたがり屋の嘘つきだと言われ、学校で浮いてしまう。怯えながらぎこちなく微笑む彼女に、心の底から笑ってほしくてぼくはある嘘をついた―。(表題作)そっとあなたの居場所を照らしてくれる、輝く星のように優しい純愛小説集。
著者等紹介
市川拓司[イチカワタクジ]
1962年、東京都生まれ。インターネット上で発表した小説が注目され、2002年に『Separation』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kei@名古屋
29
いつ読んでもやさしい。そして、この日本は少し狭いのかもしれない。強さと弱さを合わせ持った主人公たち。不器用だけど優しい。そして私は酷いことをする人たちの一人なのだと改めて実感しました。2014/09/06
なないろ
28
単行本を図書館で借りて読みました。文庫になって手元に置くことができて嬉しいです。なんとなく今までの市川作品と違うのかなと感じました。なかなか読み進められず時間をかけて読了しました。とはいえ、独特な世界でひとりの人を愛する純粋でキレイな恋物語。何度も丁寧に読んでいきたい1冊。『白い家』と『いまひとたび、あの微笑みに』が市川さんらしくて好きだなーと感じました。2015/01/16
衛兵
21
淡い恋、病、天文台といくつかのキーワードが散りばめられた短編集。「いま、会いに行きます」が好きなら、この作品集もきっと気に入ると思います。優しく、悲しく、儚く、暖かい。2018/11/25
辛口カレーうどん
21
天文台、植物園…大好きな世界。ピアノが奏でる淡く悲しい旋律が似合う世界。肩を寄せ合いながらも、別々の場所にいるような恋人たち。私が10代の頃なら、熱狂的に好きになっただろう本。汚れちまったおばさんには、少し気恥ずかしく感じる…悲しいことに。短編集で、それぞれ独立した話なのだが、場所や登場人物が似通っていて、同じ恋人たちのパラレルワールドなんだろうか、と思った。私は腰が引け気味だったが、感受性豊かな方にはオススメ。2016/02/13
A
20
植物館や天文台が登場する短編集。最後に切なくなるの多かった。表題作と夜の燕が良かった。2021/10/11
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