内容説明
夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。
著者等紹介
道尾秀介[ミチオシュウスケ]
1975(昭和50)年、東京都生れ。2004(平成16)年、『背の眼』でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞し、デビューする。独特の世界観を持つ作家として、大きな注目を集めている。’07年、『シャドウ』で本格ミステリ大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
1369
映像ではなく読書だけでしか味わえないカテゴリーの内容でした。そういう意味では、”読書”という行為を逆手に取って、読者を読書にどっぷり引き込む著者の作戦勝ち。まあ、とにかく伏線とその回収が見事すぎます!読後の重苦しい疲労感と驚愕感、そしてまさかの解放感はハンパないです。2019/01/12
ちょこまーぶる
1119
大変面白く、不思議で、背筋がゾクッとする一冊でした。読んでいて次はどうなるんだろう?という感覚が常に付きまとってしまうような展開で、死んだ人が虫となって生き返り、それを瓶の中で生活させてしまうなんて、想像を超えた内容でしたね。そして、学校の先生、お爺さん、お婆さん、S君、犬、妹のミカ、両親、そして主人公のミチオ君(道尾さんのミチオ?)等が全員普通じゃないと言うのが素晴らしいし、小学生でこれ程までの異常性をもった主人公たちを登場させるという驚きのキャラクターに終始翻弄された思いがします。暑い夏の夜に最適!!2014/08/19
鉄之助
1104
「みんな物語をつくるんだ。~思い込んで生きている」。それは、いつまでも後悔や失敗を引きずっては生きていけないから。自己防衛反応に違いない。私にも、同様の経験がある。「見たくないものを見ないようにして、見たいことはしっかり覚えこんで…」。荒唐無稽とも思われる展開もあるが、面白すぎて一気に読み進めた。「自分自身に対する怖ろしさ」に反発する行動、いじめ問題の根本的な構造も、明かされる。私だったら、もし、生まれ変わったら、何になりたいかな? 自問自答の"夏"だった。2024/12/24
サム・ミイラ
1101
まるで悪夢を具現化したような怪作。テーマもストーリーも私の好きなパターンだったのだが話は上手く繋がってないような、例えばミチオの後半の極端な変貌ぶりや思わせぶりな記述、強引にミスリードを誘うような書き方はどうかと思うが、初期の作品ということもあり怖い物知らずな突っ走り方も大きな魅力であり、後の片目の猿や龍神の雨などに繋がる事を思えば、実に初々しく才能の開花を感じさせる重要な作品だと思う。特にこの怪談的オチは誰かに語り聞かせたくなる日本ならではなダークファンタジー。でも語っちゃダメ(笑)2014/08/19
遥かなる想い
1074
感想でひと事で言うなら気持ち悪かった。このミスで取り上げられ、いつかは読みたいと思っていた本だったが、設定が私の趣味に合わない。小学校のS君が首を吊り、昆虫に生まれ変わり…という始まりから心が離れていた。物語の展開の意外性、岩村先生やお爺さんの不気味さなど、筆力は感じられるが、筋があまりに 荒唐無稽すぎて私は好きではなかった。2011/02/26