内容説明
妖怪馬鹿―お化けを愛してやまぬ者どものこと。本書は、小説家・京極夏彦が、盟友である多田克己、村上健司と、妖怪という文化現象について語り尽くした、七時間の全記録である。三人はバラエティに富んだ話題を俎上にあげつつ、やがて日本文化の深奥へと迫ってゆく。京極描くさし絵漫画を多数収録、新潮文庫収録にあたり語り下ろし座談会を加えた、永久保存版・妖怪バイブル。
目次
序章 妖怪三馬鹿、上洛す。
第1章 我ら如何にして妖怪馬鹿となりしか。
第2章 医者も治せぬ妖怪馬鹿。
第3章 夜の帳は降り、妖怪話は続きけり。
第4章 すべて妖怪の仕業なり。
第5章 妖怪馬鹿と口裂け女。
第6章 そんな妖怪、何処にも居らぬ。
第7章 二十一世紀こそ妖怪馬鹿の時代―か?
新章 二十一世紀の妖怪馬鹿
著者等紹介
京極夏彦[キョウゴクナツヒコ]
1963(昭和38)年、北海道生れ。’94(平成6)年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。2003年、『覘き小平次』で山本周五郎賞を受賞する。’04年、『後巷説百物語』で直木賞を受賞
多田克己[タダカツミ]
1961(昭和36)年、東京生れ。日本唯一の妖怪研究家
村上健司[ムラカミケンジ]
1968(昭和43)年、東京生れ。日本全国をフィールドワークするライター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さっとる◎
37
妖怪馬鹿による妖怪考察やら妖怪談義やら水木サンリスペクトやら。不気味な体験や妖しい現象、民間信仰等から生まれるだけじゃなく、写し間違っちゃってすら生まれる妖怪。妖怪のせいとされただけで受け入れられる不思議なあれこれ。妖怪の世界は度量がでかい。奥が深すぎる妖怪話、自ら語るには知識諸々不足しすぎだが、聞くのは楽しい。水木しげる記念館のロビー?で繰り返しテレビに映し出される喋る水木サンの映像。それを観た子どもが「ここにも妖怪がいる~(ノД`)」って泣き始めたことを思い出した(笑)。2016/08/23
マーム
24
3人の変人、もとい妖怪の大家が、時折脱線しつつも実に楽しそうに妖怪談義に花を咲かせています。妖怪にとってキャラクター化されている(名前があって形がある)ことが大切だという京極氏の話には首肯できました。古くは『画図百鬼夜行』を描いた江戸中期の鳥山石燕から、新しくは水木しげるに至るまで、新たな怪異を創り出していると言います。想像が創造へとつながったということでしょうか。そして、妖怪の起源に関する伝承は疑ってかかるべしという主張も面白い。それにしても、色々な漫画家の作風を真似た京極氏の絵の出来映えは素晴らしい!2012/05/11
春風
19
『あやかし、もののけ、鬼、天狗、爺婆河童に入道小僧。あの世とこの世を行き来する、化物追って西東。こけつまろびつ走る馬鹿。見る馬鹿聞く馬鹿探る馬鹿。語る阿呆に描く阿呆』それが、妖怪馬鹿。あるいは、無用の長物・妖怪博士。学問とは「ためにする」のじゃない。博士とは即ち学問馬鹿で、そんな人間が成果を出すんだとーー。そんな妖怪馬鹿である、京極夏彦・多田克己・村上健司に編集者青木大輔(仮名)が妖怪の周辺を語り尽くす対談集。ドーナツの穴とも称される“妖怪”談議に内容は在るや無しや。時々挿入される京極夏彦画の漫画は必見。2020/03/28
目玉おやじ
11
りん。鈴の音。「祟ろう。祟ろう。そう-死人が申しておりまする。今宵は望月。陰陽の気が乱れまする物怪の宵に御座います。怪しき都に、さても兇ろしき形相の妖怪馬鹿どもが。渦を巻いて凝っておりまする-。」妖怪馬鹿の妖怪馬鹿による妖怪馬鹿のための濃厚な座談会。これだけ好き勝手に放談して、最後は日本文化論に話を収斂させる処は流石。こけつまろびつ走る馬鹿。見る馬鹿聞く馬鹿探る馬鹿。踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損々…。出来るだけ、馬鹿に成り切って読む事をお薦め致します。2010/03/28
めりた@かりた
9
図書館 これ読んで確信しました。多々良先生と沼上さんにモデルがいたんですね。嘘実妖怪百物語読んだときに何となく似てるかなと思っていたんですが、この三人の会話とまあ名前もある意味そのまんまですよね(笑)対談・・・座談会か、あんまり好きではないんですが、こういう馬鹿な事しか言ってない座談会は結構好きなんだなと知りました。2017/01/26