内容説明
しずかは25歳。家庭のある恋人と別れ、勤めていた会社は倒産。人生に迷う彼女は、不思議な縁に導かれ、亡命ロシア貴族の未亡人ターニャが住む横浜の洋館で暮らすことになる。一方、恵まれた結婚をしたはずのしずかの姉、恭子もまた、問題を抱えていた。心配したしずかは姉を洋館に呼び寄せるが―。優しい人々との出会いによって生きる道を見いだす女性を描く、前向きな再生の物語。
著者等紹介
小澤征良[オザワセイラ]
サンフランシスコ生まれ。6歳までボストン在住。上智大学比較文化学部卒業後、メトロポリタン歌劇場の演出家デイヴィッド・ニース氏のもとでアシスタントを務めながらオペラ演出を学ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶんこ
46
思わぬ巡り合わせから、人生の別の扉が開かれる・・妻ある男性との恋愛、勤務先の倒産で失業。25歳親許で暮らす(しずか)にお見合いをすすめる母。お見合い相手と行ったロシアレストランでのマジシャンとの出会い。一人で立ち寄ったカフェでの小さな書き込み。お見合い相手の事故死と、思いがけない出来事から、横浜の洋館でロシア人と結婚した未亡人ターニャとの生活が始まる。美しくて頭が良くて、完璧な姉への劣等感を持ちながらも素直で優しくそだった(しずか)だから、ターニャとすごせるのだろうな。静かな霧の中のようなお話でした。2016/10/28
kotono
10
するすると頭の中に入ってきて心に染み渡るような、読んでいてとても心地の良い文章で癒され、凝り固まった心が解きほぐされていく感じがした。少しどんよりとした何かが入り混じっているようで、でもふんわりとした優しさの溢れる独特の雰囲気が漂っており、暗闇に一筋の光が差し込み、その先の道を照らしてくれているような、読み終えてホッと安心できる、優しい気持ちになれる作品だった。久しぶりに、フレンチトーストが食べたいな。私も朝の時間を大切にしよう。2016/07/08
波多野七月
4
大切な何かを失った時。もしかしたら、ひょっとしたら。ほんの少し、立ち止まってもいいのかもしれない。大切な恋を失った、25歳のしずか。まわり道をしながら、ただゆっくりと。呼吸するように、生きていけばいい。2013/10/31
ジュリ
3
ターニャさんと一緒に住むようになって変わっていくしずか。実家から離れて優しい人と過ごしたことが彼女を変えたのかもしれない。2018/10/21
ふみふみ
3
◎山手の洋館に暮らすお婆さんと同居する事になったしずか。お婆さんは亡くなったロシア人の旦那との出会いや様々な出来事を話し……。不思議な縁で出会い繋がる。気持ちの良い登場人物ばかりで、前向きにしてくれる一冊。2016/04/09