出版社内容情報
新しいお母さんができたケンタ。じつは誰にも言えない秘密があって……家族にとって大切なものを考える「ケンタの背中」。ほかに、先生から言われた〝ふつう〟という言葉について悩む「いちばんきれいな空」や、知らなければよかったことを知ってしまいどうすればいいか迷う「おねえさんが教えてくれた」など10編。教室で、グラウンドで、帰り道で――言いあらわせなかった気持ちが見つかる短編集。
【目次】
内容説明
新しいお母さんができたケンタ。じつは誰にも言えない秘密があって…家族にとって大切なものを考える「ケンタの背中」。ほかに、先生から言われた“ふつう”という言葉について悩む「いちばんきれいな空」や、知らなければよかったことを知ってしまいどうすればいいか迷う「おねえさんが教えてくれた」など10編。教室で、グラウンドで、帰り道で―言いあらわせなかった気持ちが見つかる短編集。
著者等紹介
重松清[シゲマツキヨシ]
1963(昭和38)年、岡山県生れ。出版社勤務を経て執筆活動に入る。’91(平成3)年『ビフォア・ラン』でデビュー。’99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、同年『エイジ』で山本周五郎賞を受賞。2001年『ビタミンF』で直木賞、’10年『十字架』で吉川英治文学賞、’14年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞を受賞。現代の家族を描くことを大きなテーマとし、話題作を次々に発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
tosca
29
10篇すべて子供が主人公だったり、登場人物が子供だったりする短編集。タイトルはボブ・ディランの「風に吹かれて」に由来するそう。どの結末もキッチリした終り方ではなく、答えを出さずに余韻を残して終わっている。子供には、どうする事も出来ない親の事情や社会の問題があって、だからと言って何も分からない訳ではなく、親や周りの言動から不穏な空気を読み取るので、無邪気なだけではいられない子供なりのモヤモヤがあるのだよな。と、子供の頃を思い出したりした2025/09/21
ひめありす@灯れ松明の火
27
とりあえず曇り空のお話の先生には私の大好きな歌詞の『夕焼け空綺麗だと思う心をどうか失くさないで』というフレーズを毎日100回正座で音読して頂きたい。私も幾つか幼少期に先生から貰った言葉で生涯抜けない棘となってるものがある。楽しかったり優しかったりする記憶は私に溶けて一体化してしまったのだけれど。明るい曇り空から差し込む天使の梯子、彩雲、天気雨に煌めく世界、夕焼けの見飽きぬ空、ぽかっとあいた雲の隙間に見える月、雪の前の脹脛まで冷える風。いい天気だとどれも思う。2025/08/02
楽駿@新潮部
25
【新潮の100冊/2025】いじめ未満だが、これがいじめの始まりだと思われる話だったり、コロナ禍に翻弄された、小学六年生の話だったり、日本に生まれ育った韓国籍の子供の話だったり、どの短編も考えさせられる。立場が違えば、思いも、考え方も変わる。普段どれほど良い人であっても、心の奥にしまってある悲しい思いもあったりして、だから、厳しくなってしまう事もある。重松作品を読むといつも思う。絶対的な良い事も、悪い事もないのだろう。見る向きを変えたら、良くも悪くも見える。違った向きから見る余裕があるか否か、それだけ。2025/09/02
千穂
18
図書館本を単行本で読んだ。小学生が主人公の短編集。重松さんらしい作品。子どもたちなりの悩みが伝わってくる。2025/09/21
ハルめめ
18
子供たちの揺れ動く心を描いた重松さんらしい短編集。いろいろなことに悩んだり不安になったり小さな心で一生懸命答えを探す。心の奥にずっと抜けないままの棘のような思い。それでも子供たちはひとつひとつ前へ進んで確かな成長を見せてくれる。苦しいお話もあるけれどそれでも最後はみな穏やかな感情で終われる作品。2025/09/14