新潮文庫
星に願いを―さつき断景

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  • サイズ 文庫判/ページ数 311p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101349237
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

地下鉄サリン事件、そして阪神大震災が起きた一九九五年。復興ボランティアに参加した高校生のタカユキは、自分が少し変わったような気がした。サリン事件の衝撃を引きずるヤマグチさんは、娘の無邪気さに癒された。五十代のアサダ氏は、長女の結婚で家族の存在を実感した―。不安な時代。それでも大切なものはいつもそこにあった。三人が生きた世紀末を描く長編。

著者等紹介

重松清[シゲマツキヨシ]
1963(昭和38)年、岡山県生れ。出版社勤務を経て執筆活動に入る。’91(平成3)年『ビフォア・ラン』でデビュー。’99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞を、『エイジ』で山本周五郎賞を受賞。2001年『ビタミンF』で直木賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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s-kozy

95
高校生のタカユキ、地下鉄サリン事件で九死に一生を得たヤマグチさん、定年前後のアサダさん、それぞれの5月1日を1995年から2000年に渡って切り取ったお話。人生の中で変わる物、変わらない物、大切にしたい物が重松清らしい筆致で綴られる。三人の主人公は誰にも似ていない気もするし、すぐそこにいる誰かのような気もする。あの世紀末の時代に日本人が感じていた不安な気持ち、バブルが弾けた後でもう右肩上がりにはよい世の中にはなっていかないと思い続けている今の日本人の気分がうまく描かれていたように思う。2014/12/08

zero1

80
人は事件の合間に生きている。そして忘れる。オウムのサリン事件に阪神・淡路大震災。95年から3人の毎年5月1日を切り取った日常と非日常を描いた重松らしい実験的作品。定年が近く、妻を病気で失う。サリン事件の際、電車一本の差で際どく生き残った男。神戸でのボランティア後、大学進学で失敗する若者。その後、イチローは引退し橋本真也と星野仙一は亡くなった。それでも地球は回っている。読んでいて引っ越しや大掃除の際に出てきた新聞を読む感覚を思い出した。興味深いが何年も続くと飽きる。2020/01/14

こばきよ

62
1995年から2000年までの6年間の各年の5月1日の断片風景。1995年は私個人としては、大学を卒業して社会人になった年なので、何よりそれが個人的一大事件なのだが、世の中では、阪神大震災と地下鉄サリン事件が歴史的事件。年代の異なる3人に光を当て、果たしてこの3人に二つの大事件の影響はあるやなしや。いつの時も絶えない悲惨な事件、そして薄れていく歴史的事件の影響。日々生きる個人にとっては自身と家族がやはり中心。家族を描かせたらやはりさすがな重松氏なんだけど、現実事件との並列での進みがなんだか窮屈だったかな。2014/08/08

ゆみねこ

61
1995年から2000年までの世紀末を過ごした3人の物語。5月1日を切り取って描いています。どこかでこの3人が交錯するのかと思ったらそうではなかったですね。その時々の事件を折り込んで、時代を振り返る物語としては悪くないのですが、何となく中途半端な読後感でした。不安な時代を生きる私たちへの提言なのでしょうか。2015/03/29

七色一味

53
読破。1995年3月20日。直通電車がなかった田園都市線のとある駅に向かうために、6時半過ぎに家を出まして。北千住駅で「千代田線」に乗り換え、新御茶ノ水駅を通過したのは7時40分過ぎ。表参道で半蔵門線に乗り換えたのが8時過ぎ。そのまま、田園都市線のとある駅まで仕事をしに行きました。そう、ちょうど表参道で乗り換えたころ、発生してたんですね…。2013/10/21

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